オリンピックのサッカーの影を薄くするEURO
面白い資料がある。
AP通信による2004年のスポーツ10大ニュースだ。
オリンピックイヤーのこの年、1位になったのは「サッカーEURO2004 ギリシャ初制覇」である。
もちろん、アテネオリンピック関連も2位、5位、6位、8位と4項目が入っているのだが、1位はEUROだった。
EUROとは、サッカーの欧州選手権のことで、4年に一度夏季オリンピックと同じ年に開催されている。
いわば、サッカーW杯のヨーロッパ版で、1960年に第1回大会がフランスで開かれた。
当初参加国は4カ国だったが、8カ国さらには16カ国と拡大し、今年から24か国に拡大される。
その注目度もW杯に劣らず、内容はW杯をも凌ぐとも言われている。
1984年頃までは、日本ではサッカー専門誌では取り上げられるものの、一般紙にはほとんど登場しなかったが、徐々に注目を集めるようになり、2004年からは地上波での放送も開始され、すっかりおなじみになった。
2004年はポルトガルで開催され、決勝はギリシャが地元ポルトガルを下し、初制覇を遂げた。
大会前ギリシャの優勝なんて誰も想像しなかった。これが、6月のこと。
ギリシャはすっかり盛り上がってしまった。
言わばギリシャ国民は満腹状態で8月のオリンピックを迎えることになった。
そのためオリンピックを上の空で見ていた人も多かった。
特にサッカーはガラガラ、最終日を前に、平均1万人強の観客しか集まらず「すべてのギリシャのサッカーファンは、これから行われる試合を見に来ないといけない」
ギリシャサッカー協会のガガツィス会長が3位決定戦と決勝戦を前に、こんな異例の呼びかけをしたほどだ。
ヨーロッパの人は、オリンピックのサッカーにはあまり関心がない。
最近6大会のサッカー1試合当たりの平均観客数は以下のようになる。
1992年 バルセロナ五輪 14571人
1996年 アトランタ五輪 38242人
2000年 シドニー五輪 32018人
2004年 アテネ五輪 12544人
2008年 北京五輪 43883人
2012年 ロンドン五輪 48785人
ヨーロッパで開催されたバルセロナ、アテネ大会はアトランタやシドニー大会の半分から3分の1程度でしかない。
ただし、バルセロナオリンピックは地元スペインが3-2でポーランドを下し優勝した。
舞台はカンプノウスタジアム、ファンカルロス国王、ソフィア女王、アントニオ・サマランチIOC会長も詰め掛け95,000人の大観衆とともに金メダルに酔った。
●AP通信(米)による10大ニュース●
① サッカーEURO2004:ギリシャ初制覇
② アテネオリンピック開催
③ ツール・ド・フランス:アームストロング(米)が史上初の6連覇。
④ F1シューマッハー(独)が圧倒的な強さで年間総合優勝
⑤ アテネオリンピック過去最多のドーピング違反
⑥ アテネオリンピック水泳のフェルプス(米)が金6個を含む8メダル
⑦ 女子テニス全仏はミスキナ、全英はシャラポワ、 全米はクズネツォワとロシア勢が3勝
⑧ アテネオリンピック 中国が米国に次ぐ32個の金メダルを獲得する躍進
⑨ 男子テニスフェデラー(スイス)が四大大会のうち3大会を制覇
⑩ サッカー英プレミアリーグアーセナルが無敗でリーグ制覇