リオデジャネイロ五輪はこれを見逃すな③ テコンドー大国は韓国かそれともイランか?
リオデジャネイロ五輪では、テコンドーが注目されている。
というのも、昨年の世界選手権を日本人として初めて制した濱田真由が女子57kg級に出場。
金メダルに最も近いと言われている。
テコンドーは、発祥の国である韓国が圧倒的に強かった競技だ。
ところが、近年急速にその地位が低下している。
男女合わせて8階級が実施された2008年の北京五輪のテコンドー、韓国は出場した4選手全員が金メダルを獲り、韓国人選手の出場しなかった階級ではメキシコが2個、中国とイランが1個の金メダルを獲った。
ところが同じ8階級で実施された2012年のロンドン五輪のテコンドー、金メダルを獲った国は
スペイン
中国
韓国
トルコ
英国
イタリア
アルゼンチン
セルビア
何と8か国に渡った。つまり、複数の金メダルを獲った国はなかったのだ。
2015年、世界テコンドー選手権がロシアのチェリャビンスクで開催された。
五輪と異なり、世界選手権では男女8階級ずつが行われているが、男子の韓国選手が金メダルが獲ったのは54キロ級のみ。
一方、韓国女子は3階級を制した。
世界選手権のテコンドーは、獲得したメダルで国別のランキングを出すのだが、韓国女子は(金3、銀0、銅0、総合点56点)は台湾(金1、銀1、銅1の41点)を抑えて1位。
ところが、韓国男子(金1、銀0、銅1の42点)はイラン、ロシア、ウズベキスタンを下回って4位に終わった。
1973年に世界テコンドー選手権が始まって以来、2011年(2位)を除いて常に1位だった韓国男子にとって屈辱的な結果だった。
韓国の国技であるテコンドーは、2000年のシドニー大会から五輪正式種目になった。
男子は58㎏級·68kg級·80㎏級·80kg超級、女子は49㎏級·57kg·67kg級·67㎏超級の8階級が行われている。
2004年のアテネ五輪から前回ロンドン五輪までは、ひとつの国で最大4選手しか出場できなかった。
このところは、柔道とは大きく異なる。
これは特定の国、宗主国である韓国にメダルが偏ることのないように配慮されていたのだ。
しかし、ロンドン五輪の結果を踏まえ、世界テコンドー連盟(WTF)は最大4選手という縛りを解除、リオ五輪からランキングにより出場権を割り振ることを決めた。
これによって事実上ひとつの国から最大8選手が五輪に参加できることになったが、最も多くの枠を確保した韓国でも5階級。
豪州、アゼルバイジャン、ブラジル、中国、イラン、メキシコ、米国がそれぞれ4階級を確保している。
一階級に参加する選手は16名。いずれも実力差が大きくない。
韓国はテコンドー大国を維持できるだろうか。
ソウルの中心部にテヘラン路という通りがあり、イランの首都テヘランにはソウル通りという幹線道路がある。
1970年代に韓国の建設会社が多くイランに進出し、その当時、友好の証として設けられたという。
テコンドーのイランと韓国の歴史はそれより少しあとの1985年、韓国がテコンドーの師範をイランに派遣したことが始まりだ。
徐々にブームになり、現在ではイラン全土に3500の道場があり、高いレベルのリーグ戦を行ってるという。
一方の韓国には8000以上の道場があるというが、競技としてよりも健康志向の子どもたちが通っているらしい。
柔道の本家日本も、競技人口では随分前からフランスにその首位を譲っているが、テコンドーも柔道同様国際スポーツになったのだ。