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August 01, 2016

リオデジャネイロ五輪はこれを見逃すな④ ルーマニア女子体操11大会連続金メダル獲得なるか 

体操競技で過去五輪10大会連続して金メダルを獲った国がある。
ロシアか、日本か、米国か、答えはルーマニアである。

80年代は五輪にとって不幸な時代であり、1980年モスク大会、1984年のロサンゼルス大会とボイコットの応酬による片肺の大会が続いた。
そのため、旧ソ連、日本、米国、中国などの体操強国もどちらかの大会は出場していない。

その中で、ルーマニアだけはロサンゼルス五輪に参加し、1976年から2012年まで10大会連続で金メダルを獲るという偉業を更新中だ。
1976年はモントリオール五輪の開催された年であり、この大会で五輪デビューしたのがナディア・コマネチである。
ルーマニアは2012年のロンドン五輪まで、女子団体では必ずメダルを獲っていたほか、個人総合か種目別で1個以上の金メダルを獲っていた。

ところが、モントリオール五輪から40年を迎える今年のリオデジャネイロ五輪、ルーマニアの連続金メダルに赤信号が灯っている。

五輪の団体に出場できる国は男女12.
まず五輪前年の世界選手権(2015年はグラスゴー)で上位8カ国がリオ五輪出場権を得たが、ルーマニア女子は13位に終わり、出場権を得る最初の機会を失った。

次のチャンスは今年4月にリオデジャネイロで行われた五輪最終予選。
危機感を強くしたルーマニア体操協会は、団体金メダルに輝いた2000年シドニー、2004年アテネ両五輪で監督だったオクタビアン・ベルを呼び戻し、アテネ五輪で3個の金メダルを獲得し、ロンドン五輪にも出場したカタリナ・ポノル(28)が現役復帰させたにも関わらず7位。
上位4か国に与えられた女子団体の五輪出場権を逃してしまった。

ルーマニアの連続10大会金メダルに次いでいたのは旧ソ連。
1952年から1980年まで女子団体で8連覇をしていたが、ロサンゼルス五輪を報復ボイコットし、1984年に連続金メダルは切れた。
ソウル五輪に復帰し団体を制した後、1991年にソ連が崩壊、翌年のバルセロナ五輪には旧ソ連の独立国家共同体EUNとして女子団体金メダルを獲った。

この時のEUNのメンバーの中には、オクサナ・チュソビティナがいた。
チュソビティナはEUN⇒ウズベキスタン⇒ドイツと国籍を変えるも五輪出場を続け、この度のリオ五輪予選でも出場権を獲得、この夏はウズベキスタン代表、41歳で体操史上最多となる7度目の五輪を迎える。


現在の女子体操は、中国と米国の2強時代。
旧ソ連の後継であるロシアも両国の後塵を拝している。

ルーマニアだが、連続金メダル獲得が完全に途絶えた訳ではない。
女子団体の出場は叶わないが、個人の一人の枠は確保している。
男子二人ともに辛うじて個人の枠を確保しリオ五輪に参加する。
カタリナ・ポノルが個人総合と種目別でメダルを目指すが、何と言っても28歳。
彼女が金メダル3個を獲ったアテネ五輪は「栄光への架け橋」で日本男子団体が金メダルを獲った12年前。
当時の日本チームで現役の選手はもちろんいない。
カタリナ・ポノルもどこまで往年の演技ができるか判らない。

Gym2016

表の見方:ルーマニア、ロシアは両国の女子団体の順位。ロシアには前身のソ連、EUNを含む。
個人(総合)、床、跳馬、段違い(平行棒)、平均台の欄は、それぞれの種目で金メダルを獲った国のうち、ルーマニアとロシアを記した。

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