負担の大きい五輪招致 2024年大会はパリ、ロサンゼルス、ブダペストの争い
1980年代、五輪は嫌われ者だったといってもいいだろう。
開催したいと手を挙げる国はなく、開催すれば莫大な赤字が残った。
1976年以降1988年までの夏季五輪に立候補した都市はこれしかない。
1976年 ◎モントリオール モスクワ ロサンゼルス
1980年 ◎モスクワ ロサンゼルス
1984年 ◎ロサンゼルス
1988年 ◎ソウル 名古屋
1976年大会に立候補した3都市が、順番に1984年まで開催している。
1984年大会に立候補した都市はロサンゼルスのみ。
莫大な赤字を背負ったモントリオールの記憶が新しく、他に立候補を表明する都市はなかった。
アメリカ連邦政府、カリフォルニア州政府はビタ一文税金を使わないのなら、開催してもいいよとロサンゼルス市に通告した上での立候補だった。
この大会が、今日でも踏襲される商業五輪の原型となるのだが、30年以上経って五輪招致をめぐる状況は似てきている。
先に開催されたリオデジャネイロ五輪。
総費用は約144億ドルと見られている。
日本円にすれば1兆5000億円にもなる金額だ。
4年後の開催都市東京は、その招致の段階で大会にかかる予算総額を7300億円、組織委員会の予算を3400億円としていたが、実際の費用は、3兆円になるとも言われている。
2022年の冬季五輪は北京とアルマトイ(カザフスタン)が争い、44―40で北京が勝利した。
ご存知のように2018年は韓国平昌。
なぜ2018、20とアジア開催が続くの22年もアジア開催になったのか。
開催地を決めるIOC総会に至るまでに
ストックホルム(スウェーデン)
クラクフ(ポーランド)
リヴィウ(ウクライナ)
オスロ(ノルウェー)
の欧州4都市が招致を断念したのだ。
いずれも費用がかかりすぎるというのがその理由だ。
2024年の夏季五輪も同じような道を辿っている。
時系列にすると以下のようになる。
2015.09.15
IOCは、2024年夏季五輪招致の申請を締め切り、ローマ、パリ、ロサンゼルス、ハンブルク、ブダペストの5都市で争う見通しになった。
2015.10.16
分割金の支払い
立候補を表明した5都市は50,000ドルをIOCに支払った。
2015.11.29
2024年夏季五輪の開催都市に立候補したハンブルクの招致委員会は、招致の是非を問う住民投票の結果、巨額の開催コストへの懸念などから反対51.6%、賛成48.4%で過半数の賛同を得られず、招致を断念すると発表した。
2016.2.17
候補都市による立候補ファイル提出
IOCは、2024年夏季五輪招致の立候補ファイルで開催計画やビジョンを示した第1段階の申請を締め切り、パリ、ローマ、ブダペスト、ロサンゼルスの4都市が提出した。
2016.7月
分割金の支払い2
4都市は50,000ドルをIOCに支払った。
2016.9月
ローマ五輪招致を断念
ローマ市長ラッジ氏
オリンピックはある種の夢だが、それはある時点で悪夢に変わる。
2024年大会は、1924年大会を開いたパリが100周年ということで大本命。
負ける戦にカネは使わないということだ。
なおこれまでのローマの招致活動費用は、1300万ユーロ=約14億7300万円
2016.10.07
立候補都市は、政府の財政保証などを求める2回目の立候補ファイルを提出する。
2017年1月
分割金の支払い3
3都市は150,000ドルをIOCに支払う。
2017.02.03
大会運営や会場の後利用計画を記した3回目の立候補ファイル提出。
2017.2月~7月 IOC
IOC委員らによる立候補都市の視察
2017年09.13
IOC総会 ブリーフィング及び開催都市決定
(ペルー・リマ)
IOCは、2024年五輪を組織するのを助けるために17億ドルを招致に成功した都市に支払うと2015年に発表している。
開催都市の負担が大きく、近年夏季冬季ともに開催に立候補する都市が減っているための措置だろうが、当然東京五輪には適用されない。