引き受け手のないオリンピック
パリとロサンゼルスの一騎打ちとなっている2024年五輪招致だが、今年9月にリマで開かれるIOC総会では、2024年だけでなく、2028年大会の開催都市も決めることになりそうだ。
費用負担の大きさから、五輪開催に立候補する都市は減っており、IOCとしては、パリ、ロサンゼルスといった開催実績のある2都市をともに確保したいとみられる。
実はIOCには痛いトラウマがあるのだ。
2011年7月6日 南アフリカのダーバンで開かれたIOC総会のこと。
2018年の冬季五輪の開催地が決まろうとしていた。
立候補していたのは平昌(韓国)、ミュンヘン(ドイツ)、アネシー(フランス)の3都市。
平昌は2010、2014年に続いて3回目の立候補、ミュンヘンは初の夏冬開催を目指していた。
1回目の投票で平昌が63票と過半数を超え開催地に決定。
ライバルと見られていたミュンヘンは25票、アネシーは7票に留まった。
この時点でIOCはまだ甘く考えていた。
ミュンヘンは2022年の冬季五輪立候補するだろうと。
なぜならば2022年は、1972年のミュンヘン夏季五輪からちょうど50周年にあたり、記念大会になると誰もが思っていたのだ。
ところが、ミュンヘンは2013年11月に行われた住民投票で立候補に賛同が得られず招致を断念。
ミュンヘン撤退後に2022年冬季五輪の本命と見られていたオスロも、2014年10月、ノルウェー政府の財政保証が得られないことを理由に冬季五輪招致から撤退した。
そして、2015年7月 クアラルンプールで行われたIOC総会。
中国・北京とカザフスタンのアルマトイの二都市で投票を行い、44-40で北京開催が決まった。
ご存知のように2018年平昌、2022年北京、さらにその間の2020年には東京五輪もある。
極東アジアで五輪が続くことは異常事態であり、IOCは焦っている。
せっかく手を挙げてくれたパリとロサンゼルスを、取り逃がしたくないと思っているのだ。
日本では、今朝、共謀罪が成立した。
我が国の首相は、東京五輪を開催するためには共謀罪が必要と言うが、私が共謀罪のない社会と、東京五輪のどちらを選ぶかと問われれば、間違いなく共謀罪のない社会を選ぶ。
今日の朝日新聞の投書欄に作家の赤川次郎氏の投書が載っている。
赤川さんも、共謀罪がなければ五輪が開けないのなら、中止にすればいいと言い切っている。
●2024年夏季五輪招致
2015年9月 パリ、ロサンゼルス、ハンブルグ、ローマ、ブダペストの5都市が立候補
2015年11月 ハンブルクが辞退
2016年9月 ローマが辞退
2017年1月 ブダペストが辞退
2017年6月 IOC:
パリもロサンゼルスも五輪開催に相応しいので、2024年大会だけでなく、2028年大会も一緒に決めませんか?←今ここ
2017年9月 IOC総会(ペルー・リマ)