胸と背中に輝くTDK 世界陸上
今週末からロンドンで世界陸上が始まる。
舞台は「ロンドン・スタジアム」。
2012年のロンドン五輪のメイン会場だったスタジアムだ。
五輪当時は8万人の収容を誇ったが、改修を経て現在は6万人収容に変わっている。
現在では、五輪を除くスポーツの大会に出場する選手のゼッケンに企業ロゴが入ることは当たり前のことだ。
ロゴの企業はつまりはスポンサー企業。
スポンサーからの協賛金が、主催者に支払われている。
世界陸上では、第1回のヘルシンキ大会からこの制度が取られれている。
スポーツとビジネスとが蜜月になっていく分岐点が1984年のロサンゼルス五輪といわれるが、その1年前のことになる。
そのゼッケンスポンサーに名乗りを挙げたのはTDK。
当時からカセットテープ、ビデオテープの日本におけるトップ企業だったが、世界的知名度は、現在と比較すると低く、ヨーロッパで人気の高い陸上競技に目を付けた。
以後、世界陸上は今年のロンドン大会で16回目となるが、男子選手の胸と背中にはTDKのロゴが必ずある。
▲三田工業がスポンサー時代の世界陸上の様子
一方、女子は第1回大会こそTDKだったが2回目以降は様々な企業が、(といっても日本企業がほとんどなのだが、)務めてきた。
中でも異色なのは1987年・97年・99年にゼッケンスポンサーを務めた三田工業。
業務用の複写機、印刷機の製造販売を手掛け、日本国内よりも海外で高いシェアを誇っていた企業だが、粉飾決算事件の影響で1998年に会社更生法を申請し倒産した。
IAAFとの契約は別法人の海外子会社を通じて結んでおり、倒産後は債権者への配慮もあり、打ち切る方針を一度は決めた。
が、契約を途中で打ち切っても残金の支払い義務があることや、社員の士気を高める効果などを考慮し、99年大会までゼッケンスポンサーを続けたという経緯がある。
三田工業は2000年に京セラグループ入りし、現在は、京セラミタと社名を変更している。
また、余談だが『僕って何』で芥川賞を受賞した三田誠広氏は旧三田工業の経営陣の親戚にあたる。