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February 14, 2018

競技施設は負の遺産か 平昌オリンピック

平昌五輪の開幕直前の2月5日、1998年長野冬季五輪のボブスレー・リュージュ会場だった長野市営そり競技施設「スパイラル」が休止になった。
維持管理の高コストなどを理由に来年度からの製氷が休止されるため、事実上の閉鎖だ。
スパイラルは、エムウェーブとともには国からNTC(ナショナルトレーニングセンター)の指定を受け、両施設合わせて年間2 億円の委託料が国から長野市に対して支払われていた。

エムウェーブは、今なお国内最高のスピードスケートリンクとして活躍中だ。
一方、平昌五輪にボブスレー、リュージュの派遣選手はなく、スパイラルは競技力の面からも閉鎖を後押しした。

スパイラルを平昌五輪のそり競技で使用したら?という提案もなされたが、結局韓国側はそれを受けず、新たな施設が作らられた。

平昌五輪のそり会場は、アルペンシアスライディングセンターで、建設コストは1228億ウォン。
ボブスレー、リュージュに日本人選手が出ないので、この会場の映像をテレビで見ることはまずないだろう。
1228億ウォンを日本円に換算すると123 億円。

韓国は実は、ボブスレーに力を入れていて、今大会でもメダル候補だ。
スパイラルと違って今後も使われることを期待したい。

さて、他の競技施設の費用も調べてみた。

開会式を行った平昌オリンピックスタジアム。
競技場を建設費用が635億ウォン。(860億ウォンの説もある)
これが今のところ、五輪とパラリンピックの開会式と閉会式の4日間しか使用されない。
これを受けて韓国のネットユーザーからは、1日当り158億ウォンのスタジアムと揶揄されている。

パラリンピックが終わると、35000席のうち5000席のみ残して撤去され、と7階建てだった建物は3階になる。今後の使用計画はなく、コンサートホールや記念公園になると言われているが、屋根がないことはご覧になった通りだ。

開会式と閉会式が行われる平昌オリンピックスタジアムを除いて、五輪には合計12の会場がある。
ざっと判る範囲でも五輪建設コストの総額は約1兆ウォンに上る。

旌善アルパインセンター(20334億ウォン)アルペンスキー、
江陵アイスアリーナ(1340億ウォン)フィギュア、ショートトラック
江陵オーバル(1264億ウォン)スピードスケート
江陵ホッケーセンター(1080億ウォン)アイスホッケー
関東ホッケーセンター(627億ウォン)アイスホッケー
アルペンシアスライディングセンター (1228億ウォン)ボブスレー、リュージュ、スケルトン
江陵体育館(既設) カーリング
アルペンシアスキージャンプスタジアム(既設) スキージャンプ

しかし、アルパインセンター、江陵ホッケーセンター、江陵オーバルの3つの会場は、オリンピック後の計画をまだ発表していないと言う。

アルパインセンターでは、施設の55%を元の状態(アルペン競技場になる前の姿)に復帰させる。
それはもはやスキーリゾートとして使用することができなくなることを意味する。

平昌五輪は、招致活動中に新たなアジアのウィンタースポーツの中心にしたいと言っていたはずだが、どうなったのか。
そしてそれは大きなブーメランで東京に返って来る。

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