アジア大会の記憶② 室伏広治 アジア大会、五輪を続けて制す
ハンマー投げの1964年東京五輪以降のアジア大会とその2年後の五輪の優勝者を並べてみた。
アジア大会におけるハンマー投げは、室伏重信、広治さん親子が合計7回優勝している。
重信氏は66年大会では菅原武男氏(メキシコ五輪4位)に次いで2位に入っており、6回出場して5回連続金メダルという前人未到の記録を持つ。
4連覇したニューデリー大会ではOCAから特別表彰もされた
広治氏は1994年の広島アジア大会では、中国の畢忠に及ばず2位だったものの1998年、2002年と2連覇、さらに2004年のアテネ五輪でも金メダルを獲った。
前回のエントリーで、高橋尚子氏が、1998年のバンコクアジア大会、2000年シドニー五輪の両方を制したことを紹介したが、体格で劣るアジアの選手が、投擲競技でアジア大会と2年後の五輪の両方に金メダルを獲るとはまさに快挙であった。
ところが、2006年広州アジア大会から同種目に3連覇していたナザロフ(タジキスタン)が仁川アジア大会とリオデジャネイロ五輪の両大会を制した。
リオでのナザロフの記録は78.68mと32年ぶりに80mに届かなかったが、室伏広治氏に続く快挙だ。
ドーピング検査が厳しくなり、疑惑の選手が出場できなくなったことも快挙の理由にあると見られている。
現在36歳のナザロフは現役で、ジャカルタアジア大会では同種目4連覇に挑むことになる。
陸上競技でアジア大会を制し、2年後に五輪金メダリストになった選手たちが少しずつ出ている。
世界に比べてアジアのレベルが高くないと陸上競技ではされていたが、ソ連崩壊後、中央アジアの選手がアジアから参加していること、中国の台頭などが背景にある。
●1998年バンコクアジア大会-2000年シドニー五輪
*高橋尚子(日本)女子マラソン
アジア大会2:21:47、五輪2:23:14
*オルガ・シシギナ(カザフスタン)100m障害
アジア大会12秒63、五輪12秒65
●2002年釜山アジア大会-2004年アテネ五輪
*劉翔(中国)110m障害
アジア大会13秒27、五輪12秒91
*室伏広治(日本)ハンマー投げ
アジア大会78m72、五輪82m91
●2010年広州アジア大会-2012年ロンドン五輪
*オリガ・リパコワ(カザフスタン)女子三段跳び
アジア大会14.53m、五輪14.98m
●2014年仁川アジア大会-2016年リオデジャネイロ五輪
*王鎮(中国) 男子20㎞競歩
*劉虹(中国) 女子20㎞競歩
*ジルショド・ナザロフ(タジキスタン) ハンマー投げ
アジア大会78m55、五輪78.68m
上記以外に、男子マラソンの黄永祚(韓国)が、1992年バルセロナ五輪-94年広島アジア大会ともに金メダルという逆のケースもある。