陸上女子400m世界歴代10傑 なんと半分は昭和に出た記録だった
平成30年も間もなく終わろうとしている。
来年には新しい元号に変わり、昭和は遠いものになる…。
いや、昭和の遺物が多く残っている世界がある。
陸上競技の世界だ。
このブログでは、陸上競技、特に女子の歴代ランキングに、大昔の当時のソ連や東独の選手の出した記録が今も上位にあることを指摘してきた。
最もその傾向が強いのが400mだ。
外国人選手が主な話なので、昭和というには少し無理があるかもしれないが、30年以上ランキング上位に残っている記録が多数あるということを強調したいのだ。
実は今年の7月のダイアモンドリーグ、モナコ大会でショーナ・ミラー(バハマ)によって今季世界最高となる記録が出された。
48秒97という非常に好タイムだった。
YouTubeに動画があるので、ぜひご覧いただきたいが、実況しているアナウンサーが49秒を切ったことに興奮している。
現代においてはそれほどすごい記録なのだ。
背の高い選手が身長185㎝のショーナ・ミラー、低い選手が166㎝のサルワ・エイド・ナセルで、二人がが競い合い、ショーナ・ミラーが制した。
このレースの記録は
1.ショーナ・ミラー・ウイボ(バハマ)48.97
2.サルワ・エイド・ナセル(バーレーン)49.08 アジア新記録
3.シャカマ・ウィンブリー(米国)50.85
ショーナ・ミラーは、2016年のリオ五輪の同種目で金メダルを獲った選手だが、アリソン・フェリックスと壮絶な競い合いをし、ゴール直前に倒れ込みそのままゴールしたシーンは、リオ五輪のハイライトの一つだ。
そのレースの記録と画像がこれだ。思い出す人もあるだろう。
1.ショーナ・ミラー(バハマ)49.44
2.アリソン・フェリックス(米国)49.51
3.シェリカ・ジャクソン(ジャマイカ)49.85
この種目の世界記録は、マリタ・コッホ(東ドイツ=当時)が1985年に出した47秒60
五輪記録は、マリー=ジョゼ・ペレク(フランス)が1996年アトランタ五輪で出した48秒25
ショーナ・ミラーの49秒44でも世界記録、五輪記録から遠いことが判るだろう。
シューズやウエア、栄養の取り方、練習方法をみても、現代が1980年代よりも劣っているなどということは全くない。
では、なぜ30年前の記録が今でも残っているのか。
簡単に言うならば、国家ぐるみの違法行為が行われていたのではないかということ。
国際陸連もこのことは問題視しており、一度過去の記録はご破算にしてやり直したらどうかという話もある。
男子やり投げは、東ドイツのウーベ・ホーンが100mを超した投擲を出したところで、競技場内が危険だからという理由をつけてやりの重心の位置を変えて、昔の記録をご破算にしたという例もあるが、唯一の例だ。
身長166㎝で、ショーナ・ミラーに渡り合ったサルワ・エイド・ナセル(バーレーン)は、今年のアジア大会の同種目の金メダリスト。
このときの記録は、アジア新だったモナコよりも少し遅かったが50秒09というこれまたすごい記録だ。
但し、この選手は生粋のバーレーン人ではなく、ナイジェリアからの帰化選手。
陸上選手の国籍変更は様々な国で起こっており、来年以降、新たなルールの下に行われることになる。
が、現時点で国籍を変更している選手はそのままということになるというので、東京五輪の陸上はアジア勢の席巻もあり得る。
そして、ナセル以前にこの種目のアジア記録は中国の馬玉芹が持っていた49秒81。
1993年に北京で行われた全国運動会(全運)で出された記録だが、90年代の中国陸上界はソ連から10年遅れていたような状況で、灰色、黒色でかすんでいたような世界だった。
馬玉芹は、広島アジア大会にも優勝しているが、ご存知かもしれないが、競泳を中心に中国チームが大量のドーピング違反者を出した大会でもある。
とは言っても馬玉芹がドーピング違反をしたという証拠はない。
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