アメリカにおいて進むオリンピック離れ ② フィギュアスケート
私はこれまでも、米国において五輪離れが起きていると指摘してきた。
2年前に行われた2018年平昌冬季五輪は、テレビ放送、ケーブル、ストリーミングで同時に利用できる最初の冬季五輪であったにもかかわらず、米国において史上最も視聴者の少なかった五輪だ。
平昌冬季五輪のゴールデンタイムの報道は、NBC、NBC Sports Network、およびNBC Sports Digitalのストリーミング放送で1晩に平均1980万人の視聴者を記録したが、これは、NBC Sports Networkで放映されず、同時ストリーミングがなかった2014年のソチ五輪から約7%も減少している。
2014年のソチ五輪の視聴者は平均で2130万人。
過去最高の視聴者数は、2002年のソルトレークシティ五輪で、平均3190万人の視聴者を擁した。
米国から見て、平昌と同じ時差である1998年の長野五輪の平均視聴者数は2530万人、2010年のバンクーバー五輪が2440万人、2006年のトリノ五輪が2020万人と続く中で、2000万人を割った平昌の視聴者の少なさが判るだろう。
フィギュアスケートは、冬季五輪の華であり、どの大会でも高い視聴率を稼いできた。特にナンシー・ケリガンとトーニャ・ハーディングの米国人選手が争ったリレハンメル五輪の女子フィギュアは、米国テレビ史に残る高視聴率を上げている。
私も見に行った長野五輪の女子フリーは、当時16歳だった荒川静香が13位。米国のタラ・リピンスキーの金メダルが決まったのが日付の変わる少し前の23時30分。1998年2月20日金曜日のことだ。
これは米国東海岸の朝9時30分にあたり、米国の熱心なフィギュアファンは金曜日の朝にリピンスキーを応援し、15.8%のまずますの視聴率を取っている。
長野五輪では、米国のミシェル・クワンが銀メダルを獲ったが、この大会以降米国女子はメダル争いに絡めなくなり、視聴率も芳しくなくなる。そこで、2年前の平昌五輪は、米国の視聴者に合わせ、韓国時間の昼に行われた。そういえば、羽生結弦やザギトワの演技を昼休みを延長して観たという人も多いのではないか。
それでもフィギュア女子フリーの米国の視聴率は9.0%、ネット配信を含めても10.4%と史上最低に終わっているのだ。
米国における視聴率の目安
昨年のMLBワールドシリーズ Nationals-Astros 第7戦は、FOXテレビで平均8.1%、1391万人の視聴者を記録している。
参考 アメリカにおいて進むオリンピック離れ ① 逃げ出すスポンサー