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May 15, 2020

デーブ・スペクター「多くの競技で定期的に世界選手権がある。五輪にしかないものがあるか?」 →競技団体にとってはIOCからの分配金がなければ生き残れない

朝日新聞5月13日付で、デーブ・スペクター氏がこんなことを言っている。

「五輪の時にしか注目を浴びない競技があるなど、開催には一定の意義はあるかもしれませんが、もう規模を縮小すべきではないでしょうか。近代五輪が始まったころと異なり、多くの競技で定期的に世界選手権があります。五輪にしかないものってありますか?」https://digital.asahi.com/articles/DA3S14473756.html?iref=pc_ss_date

デーブ氏は日米のテレビ事情に相当精通した人物だが、そのデーブ氏でも、見えていない五輪の姿がある。

『競技団体にとってはIOCからの分配金がなければ生き残れない』と言っても過言ではない。

IOCは4年単位で動くが、例えば2013年から2016年までの収入は、約57億ドル(約6140億円)。
その内訳は、73%がテレビ放映権料、18%がTOPと呼ばれるスポンサー企業から得ている。
テレビ放映権料が収入の73%だから約41.6億ドル。
そのうち、米NBCネットワークの支払った額が21.9億ドル、NHKと民放の共同体であるジャパンコンソーシアムが支払った日本国内向けのテレビ放映権が660億円で、全体の15%程度にあたる。

一方、IOCはその収入の90%以上をNOC(各国のオリンピック委員会)や)IF(各競技の国際団体)、五輪の大会組織委員会に分配している。

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リオ五輪から各IFへ分配された額は合計5億4000万ドル(約577億円)。
その4年前のロンドン五輪の5億1960万ドルからやや増となっている。
IOCは五輪で行われている競技を観客動員数、テレビなどのメディアでの露出など複数の項目に基づいてランク付けをし、これに従って分配金も傾斜配分しているのだ。

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2012年のロンドン五輪当時の正式競技は、A~Dの4段階にランク分けされた。
最高のIAAF(当時、現在の世界陸連)が得た分配金は4700万ドル。以下、Bランクの競技が2200万ドル、Cが1600万ドル、Dは1400万ドルだった。
その後、リオデジャネイロ五輪に向けて新たに公表されたランクは、1つ増えてA~Eの5段階になり、最高のAランクは陸上に加えて体操と水泳がBランクから昇格し3競技となった。

日本人が好む競技であるサッカー、バレーボール、卓球、柔道はいずれもランキングの上位にある。

一方で、一度五輪正式種目から外されかけたレスリングや韓国発祥のテコンドーはD、リオ五輪から正式種目となったラグビー(7人制)、ゴルフはEランクにある。

陸上(WA)、サッカー(FIFA)など自己資金が潤沢な競技団体は少なく、IOCから資金分配は、プロのあるバスケットボールやテニスといえども競技の普及や発展のために貴重な金額であり、五輪の舞台から降りたい競技団体は存在しないのである。
五輪競技から外れるとこのカネが入らなくなり、マイナー競技のIFほど運営は苦しくなる。
IFが主催する世界選手権や国際大会のブランド価値も落ち、独自にスポンサーを集める力も衰え、競技人口の減少につながるなどダメージは計り知れない。

スイスの一非営利団体に過ぎないIOCが、世界のスポーツの生殺与奪の権を握る最大の理由がここにあるのだ。

 

●(参考)少し古い記事だけどUSOCの存在も特別だ。

米国オリンピック委員会の資金は なぜ潤沢なのか

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