東京2020

November 02, 2018

東京オリンピックの男子体操は4‐3‐3の厳しい争いになる

現在、カタール‣ドーハで世界体操選手権が開催されているが、男子の世界選手権の予選の競技方法は、5-4-3(チーム構成5名、各種目4名が演技し、チームの得点は演技した上位3名の得点の合計)、これが決勝では5-3-3(チーム構成5名、各種目は3名が演技し、そのすべてがチーム得点となる)の方法が採られている。

この場合、5名のチームにオールラウンドの選手とスペシャリストの選手を混ぜて編成ができる。
そして、オールラウンドの選手も決勝で、6種目すべてに出場するのではなく、個人総合や種目別を鑑みながら、種目を減らすこともできる。
これまで、五輪や世界選手権で常に6種目を演じてきた内村航平が、今大会は怪我により、4種目に留まった。
では、今回のドーハ世界選手権で、団体決勝に出場した8か国40人の選手のうち、6種目に出場した選手は何人いるか?
答えは米国のサム・ミクラクSam Mikulakただ一人しかいない。

では、五輪の体操はどのように行われているか。
五輪でもロンドン、リオデジャネイロとこの5-3-3が採用された。
ロンドン、リオデジャネイロ五輪は、世界体操と同じ予選5-4-3、決勝5-3-3だったが、2020年の東京五輪は、4-3-3で行われる。

Taiso2018

つまり、各国ともにチームは4人。そのうち各種目3人ずつが演技をし、そのすべてが得点になる。
日本や中国、ロシアのような選手層の厚い国は、4名の代表を絞り込むのが難しくなるだろう。
また本番では失敗が許されないため、かかるプレッシャーは相当なものになると思われる。
そして、4名で、6種目×3の18種目の演技をするため、オールラウンド型の選手を中心に選考され、1種目のみのスペシャリストが代表に入るのは難しくなるだろう。

2004年のアテネ五輪の男子体操は、日本が28年ぶりに金メダルを獲った大会だが、6-3-3で行われた決勝で、水鳥寿思、中野大輔は1種目ずつしか演技をしなかった。
また、決勝に出場した6か国36名の選手のうち6種目すべてに出場した選手はひとりもいなかった。
東京では、この逆のケースになりそうだ。

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October 31, 2018

東京オリンピックの開会式の日に行われていた日本シリーズ

1964 Tokyo

2020年の東京五輪は、7月24日から8月9日まで開催される。
その間、プロ野球の公式戦は行われない。
しかも横浜スタジアムは五輪正式種目に復帰する野球の競技場になっているほか、神宮球場は組織委員会が70日間に渡って借り上げることが決まっている。

これだけ大規模なペナントレースの中断は初めてと言われている。

では、1964年の東京五輪の際に、プロ野球はどうしたのか。

1964年、五輪開催に合わせてプロ野球のシーズンは日程が繰り上げられた。
つまり通常のシーズンよりも早く終了したわけだ。

当初、9月29日に日本シリーズが開幕する予定だったが、阪神が優勝目前にもたもたし、9月30日に優勝が決まり、2日遅れて10月1日に日本シリーズ開幕となった。
さらに、7戦までもつれたシリーズの6戦目の予定されていた10月8日が雨天中止となり、第7戦はなんと東京五輪開会式の当日 10月10日に行われている。

パリーグの覇者は南海ホークス。
福岡ソフトバンクホークスの前身であり、大阪難波にあった大阪球場を本拠地にしていた。

1・2・6・7戦が甲子園、3・4・5戦が大阪球場での試合となったが、東京五輪を考えての編成だろうか、全試合ナイターで行われた。

10月10日の夜、興奮冷めやらぬNHKを始めとするテレビ各局は、昼間の東京五輪開会式の再放送をし、日本シリーズの中継は関西ローカルの読売テレビでしか行われていない。

日本一が決まる甲子園の試合であるにも関わらず有料入場者は15,172人。
結局4勝3敗で南海が日本一になった。

最優秀選手は南海の投手だったスタンカ(3勝1敗)。
一方の阪神のエースだった村山実氏は0勝3敗。
南海の4番は野村克也氏。
南海の選手の中には大沢啓二氏の名前も見える。

この年のペナントレースでは、巨人の王貞治氏が55本のシーズン最多ホームランを打っているが、巨人は早々に優勝争いから脱落した。
王さんは、長嶋茂雄氏と報知新聞の「ON五輪を行く」という取材で、様々な競技会場に取材に出かけた。

長嶋氏の亡くなった亜希子夫人は、東京五輪のコンパニオンを務めており、この取材がなければ二人は出会わなかったことになる。

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October 18, 2018

世界バレー赤字見込みの記事に対して

14日の朝日新聞朝刊にこんな記事が載った。
世界バレー、TBSが億単位の赤字見込み CM収入低迷

連日バレーボールの中継を楽しみにしている人にすれば、ショッキングな内容だろう。
赤字は事実としても、少し補足をしてみた。

世界バレーボール選手権を開催できる国は限られる。
競技力、アリーナの数、経済力等を考えて、日本のほかは、ブラジル、イタリア、ポーランドと中国くらいしかない。
朝日記事にタイも関心があるとされている。
タイ女子の近年の人気と実力の向上(ジャカルタアジア大会は中国に次いで2位)は著しいと思うが、他国同士の対戦の集客力が未知数だ。

男子はともかく、女子の世界バレーはまず24か国の出場国が多すぎ。
女子は16カ国で良いのではないか。(1998年大会まで16か国参加)。
ちなみに、バスケットボールのW杯(旧世界選手権)は、男子24か国(但し19年大会から32か国)、女子16か国で行われている。

世界バレー男子の2002年大会を開催したアルゼンチンは、不入りで大会中に組織委員会が破綻し、JVA(日本バレーボール協会)が補填したという経緯がある。
この大会以降、世界バレーの日本開催が多くなった。
女子98、06、10、18年
男子98、06年
W杯バレーの日本開催を続けている都合上、これ以前は、世界バレーの日本開催は遠慮していた気がする。

今年の世界バレーで、使用した会場は6会場。
2006年大会で、主会場だった代々木競技場第一体育館、東京体育館が再来年の東京五輪のため会場整備の影響で使えず、横浜アリーナが代替した。
横浜アリーナは、東京五輪のバレーボールのメイン会場に決まりかけたが、横浜はサブコート2面を用意できないため断念。370億円かけて新設の有明アリーナを作ることになった因縁のアリーナだ。

2006年世界バレーの会場
 代々木競技場第一体育館 収容13,291人
 東京体育館 収容10,000人
 浜松アリーナ 収容8,000人
 松本市総合体育館 収容7,000人
 大阪市中央体育館 収容10,000人
 日本ガイシホール 収容10,000人

2018年世界バレーの会場
 北海きたえーる(北海道立総合体育センター) 収容8,000人
 横浜アリーナ 収容12,000人
 グリーンアリーナ神戸収容 6,000人
 丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館) 収容8,200人
 日本ガイシホール 収容10,000人
 浜松アリーナ 収容8,000人


収用人数の大きいホール使いすぎが赤字の原因という説もあったが、2006年大会とほぼ同じ。
今大会は9月30日に、台風の直撃に遭い、鉄道が9時で止まってしまうというアクシデントがあったが、
その日を除き、入場者数が大きく落ちたということはない。
今大会の大きな相違点は、運営助成金としてFIVB(国際バレーボール連盟)から JVA に支払らわれていた2億円がなくなったこと。
さらに、これまでJVAの負担が50%だった外国チームの日本滞在の宿泊費、移動費が、全額JVAの負担になった。

恐らくJVAの赤字はこれだろう。
ただ、大会開催が決まった2014年から判っていたことだ。

TBSの負担は、2006年の放映権等が、男女合わせて23億円だったのが、今大会は女子のみで20億円になっている。
つまり、テレビで放送した試合数は半減したが、放映権はあまり変わらない。
そして、2006年の男子大会は、日本代表が8位に入る健闘を見せて盛り上がったため、関連収入が良かったというおまけも付いた。
2010年大会は女子のみの開催だったが、何と言っても日本が3位に入り盛り上がった。

世界バレーの視聴率は、サッカーW杯と箱根駅伝を除けば、今年最も高く、平昌五輪の一部の競技よりも高いはず。
それなのにスポンサー収入が集まらないというのは、それ以外の問題。
恐らくは日本のテレビ業界が時代についていけないのか、もしくは、企業の業績よくても国内消費は全く伸びてないので、CM打っても意味ない、テレビのCM効果に疑問が出ているということ。

FIVBの公式スポンサー
 Mikasa(ボール・日本)、
 Senoh(体育施設機器器具メーカーでミズノの子会社・日本)、
 Gerflor(床材メーカー・フランス)、
 DBシェンカー(物流会社・ドイツ)
 アシックス(スポーツウエア・日本)の5社だったが、この世界バレーの大会期間中に中国のGantenが加わった。
Gantenは清涼飲料水(ミネラルウォーター)の会社らしい。
今後バレー界において、中国の存在感が増すのは間違いない。

今年の世界バレーの男子大会にいいヒントがあると思う。
男子大会は、史上初めてイタリアとブルガリアの共催で行われた。
イタリアは、開幕戦を除くすべての試合を21:15開始、
ブルガリアは、全試合が20:40開始で、これは今回の日本女子と全く同じ開催国特権を行使。
ブルガリアは、アジア最強のイランに敗れるなどし11位。
イタリアは、第3ラウンドでセルビアに0-3で敗れるも、優勝したポーランドに3-2で執念の勝利を見せる。が、勝ち点の差で準決勝の4か国に入れず5位にて終了。
ちょうど今大会の日本女子と同じ状況だ。

イタリアは、ブラジル、ポーランドと並んでバレーボールの国内リーグの盛んな国。
目の肥えたファンが多いのだろう。
イタリアの出た試合は、何れも1万人前後の観客が詰めかけ、準決勝、3位決定戦、決勝の決勝トーナメントは、イタリアが出なかったにもかかわらず、12,000人の観客で埋まった。
とは言え、強豪でない国の対戦などでは、観客が1,000人に満たない試合もあった。

観客動員については、ほぼ、日本での今大会と同じようなものだ。

どの競技も男子に比べて女子の人気は低い中、1万人の人を集めるのはなかなかできない。
先日、スペインで開催された女子バスケットのW杯は、世界バレーの1/3程度の集客だ。
2022年の世界バレーは中国でやればいいと思うが、日本がどうしてもというなら日中で共催すればいい。
単独開催に比べて負担は半減、集客は2倍になる。

2019年に日本でW杯バレーが開催されるが、従来のような五輪出場権をかけた大会ではなくなる。
東京五輪のバレーボール出場12か国(男女とも)は、
 1.開催国日本
 2.2019年に行われる世界予選(ランキング上位24チームを6組×4で各組優勝国が五輪)
 3.2020年1月に行われる各大陸予選(優勝国が五輪)
で決まる。
五輪開催年の春に日本で開催されてきたOQT(五輪最終予選)は、2020年にはない。
東京五輪がバレーボールの日本偏重を正す、きっかけになれば良いと思う。

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October 11, 2018

大迫潔のマラソン日本記録は今季世界14位

10月7日、シカゴ・マラソンが行われ、大迫傑が日本新記録となる2時間5分50秒で3位に入った。
従来の記録は2月の東京マラソンで設楽悠太がマークした2時間6分11秒。

大迫傑が日本新、初の5分台を出して賞金の1億円を手にしたのは周知だろうが、このシカゴマラソンで世界を驚かせたのは、モハメド・ファラーの優勝だろう。

1983年3月生まれのファラーは今年35歳。
2012年のロンドン五輪と2016年のリオデジャネイロ五輪の5000mと1万mで金メダル4冠を獲得。
世界陸上の5000mと1万mでも金メダルだけで6個を獲得したウサイン・ボルトと並ぶ陸上界の超人。
昨年のロンドン世界陸上でトラック競技を引退、マラソンへの挑戦を表明すると、周囲の多くは反対した。
積み上げた名声を一気に失う可能性と当時34歳という年齢のためだ。

周囲の心配をよそに、今年4月22日のロンドンマラソンに挑戦すると2時間6分21秒で3位に入った。
初のフルマラソンだったが、1985年にスティーブ・ジョーンスが持っていた英国マラソン記録(2時間7分13秒)を33年ぶりに更新した。

このロンドンマラソンを2時間4分17秒で制したのが、エリウド・キプチョゲ(34歳ケニア)で、言うまでもなくリオ五輪の金メダリスト。

このキプチョゲが9月16日のベルリンマラソンで、2時間1分39秒の世界新記録を樹立。
デニス・キメット(ケニア)が2014年の同じベルリンマラソンで出した従来の世界記録、2時間2分57秒を大幅に更新。史上初めて2時間1分台に突入した。

●男子マラソン今季世界ランキング
Marason

今年1月に行われたドバイマラソン。
日本ではほとんど報道されていないが、M.ゲレミュー(2時間4分00秒)を筆頭にエチオピア勢7人が2時間4分台で走ったという驚異的なレースだったのだが、このゲレミューが先のシカゴマラソンにも出場、2時間5分24で2位、大迫のひとつ前にゴールした。

大迫傑の記録が今季、何位になるかというと14位。
が、現在の男子マラソンは、エチオピアとケニア勢に席巻されている。

上位20選手の内、エチオピアとケニア以外の選手は、モハメド・ファラー(英国)、大迫傑、設楽悠太(日本)、
ゲーレン・ラップ(米国16年五輪マラソン銅、12年五輪1万銀)の4選手しかいない。
五輪のナショナルエントリーのように1カ国3選手に絞ると、大迫は9位まで上がってくるのだ。

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July 24, 2018

東京五輪がいかに過酷な大会になるか、世界陸上の男子マラソンを例に見る

東京五輪がいかに過酷な大会になるか、世界陸上の男子マラソンを例にデータを見せよう。
世界陸上は1983年に始まり、2017年のロンドン大会まで16回が行われている。
その男子マラソンの優勝タイムを比較すると明白なのだ。
16回のうち、日本開催が2回。
1991年の東京(旧国立競技場)と2007年の大阪(長居スタジアム)だが、大阪大会の2時間15分59秒は全大会を通じてワースト、東京大会の2時間14分57秒が下から2番目だ。

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1991年東京世界陸上
1991年9月1日午前6時スタート
開始時の気温は26度 湿度が73%
出場60選手 完走36選手、完走率60%
この当時、日本陸連科学部は真夏のマラソンは命にかかわるとし、札幌での分離開催も検討していた。

2007年大阪世界陸上
2007年8月25日午前7時スタート
開始時の気温は28°C湿度は72%。レース終了時は気温30℃。
出場87選手 完走57選手 完走率66%

東京世界陸上は既に30年近く前、大阪も10年以上前のこと。
現在の気象条件はさらに厳しくなっているのはもちろんのことだ。

ちなみに2019年ドーハ世界陸上のマラソンは午前0時から、東京五輪は午前7時スタートとのことだが、深夜スタートが懸命ではなかろうか?

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July 20, 2018

やっぱり米国NBCテレビに屈した東京オリンピック 競泳決勝は午前中に実施

2020年東京五輪の競技日程の大枠が固まったが、競泳決勝の実施時間について国際水泳連盟FINAは、「午前中に開始することで合意した」と発表した。

五輪運営の鍵を握っているのは、米国のテレビ放映権料だ。
NBCテレビは開催地の決まっていない2032年までの五輪放映権を獲得しており、一大会あたり約1400億円。

そして、日本人のように夜通しで生中継のテレビかじりついて五輪を観るなんてことを米国人はしない。
就寝前にベッドで五輪を見る。これがベストだと思っている。
独占放映権を持つテレビ局は、米国時間の夜まで競技結果を放映せず、夜に録画を流す。
ネットのある生活をしていて、競技結果を夜まで知らないでいられようがない。
すると、テレビの録画放映は低視聴率にあえぐ。

これを打開する方法が、競技時間を米国に合わせることだ。

今年行われた平昌五輪では、フィギュアスケートがテレビの犠牲になった。
フィギュアスケートは全種目が午前10時開始、遅くとも午後2時半ごろまでに終了するスケジュールが組まれていた。
そういえば羽生結弦の演技は会社で見たなあと言う人も多いだろう。
これは時差は14時間の米国東海岸のテレビ視聴者に合わせたもの。
米国人はベッドでフィギュア観戦をし、午前0時半に競技終了とともに寝ていたのだ。

アジアで五輪が開催されると、同様のことが繰り返される。
2008年北京の五輪では、競泳決勝のすべてと体操の団体総合、個人総合の決勝が午前中に行われた。

2004年アテネ五輪で金メダルを獲った北島康介の200m平泳ぎを例に取る。
予選、準決勝、決勝と金メダルまで3回泳いだ北島のスケジュールは下記のようだった。
8月17日 予選 午前
8月17日 準決勝 夜
8月18日 決勝 夜
(時間はアテネ時間)

これが北京五輪では、
8月12日 予選 午後
8月13日 準決勝 午前
8月14日 決勝 午前
のように従来の2日間から3日間になった。
ほとんどの選手が複数の種目、あるいはリレーに出場する中で、ひとつの種目に3日かけることの負担は大きい。
水泳大国の豪州や欧州各国はこの案に反対だったが、IOCに押し切られてしまった。

東京五輪も北京五輪の競泳と同じ時間帯になるのだ。
ただでさえ酷暑が予想される東京の夏。
大変な思いをするのは選手だ。

日本は過去に3回の五輪を開催しているが、米国のテレビ局の意向で時間が決められたことはないのだろうか。

ある。

1998年の長野五輪の開会式は、日本時間の午前11時に開始された。
冬季五輪も夏季五輪と同様に開会式は、夕方から夜にかけて行われてきた。
が、長野の午前11時は異例の時刻だ。

1995年2月25日付けの信濃毎日新聞に次のような記事がある。

NAOCは「開会式はすべての競技の前に行うのが望ましい」と、7日午後4時に始まるアイスホッケー予選より早い時間に開会式を設定した。開会式の始まる午前11時は、米国時間の午後6時から9時に当たる。高い視聴率が望めるため、放映権を獲得した米CBSテレビも午前中の実施をNAOCに求めていた。
NAOCとは長野五輪組織委員会のことで、長野五輪の開幕の3年前にCBSテレビが強引に求めてきていたことが判る。

東京五輪の開幕まで2年。
CBSからNBCにネットワークは変わったが、同じように競技スケジュールに圧力を掛けたのだ。

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May 30, 2018

東京オリンピック開催がドーピング違反者を増やしているのか?

ドーピングに関するニュースが頻繁に流れてくる。

・5月28日、日本ボクシングコミッション(JBC)は、日本選手で初めて世界戦でのドーピング違反で処分を受けた尾川堅一にプロボクサーライセンスの1年間停止処分を科したと発表した。
処分期間は昨年12月10日から。尾川選手が判定勝ちして王座獲得した試合は無効となっている。

・5月23日 リオ五輪にも出場し、男子50 m背泳ぎ日本記録保持者の古賀淳也がドーピングで陽性。暫定資格停止処分となり、8月のジャカルタアジア大会の代代表は取り消しになった。

・5月19日 日本カヌー連盟は、東京都内で開いた理事会で、小松正治(愛媛県協会)を、今夏のアジア大会代表として内定した。小松は、昨年のスプリント日本選手権の際に、ライバルだった鈴木康大から飲み物に禁止薬物を混入される被害を受けた。鈴木については、除名処分を6月の総会に諮る。

僅かな期間に、ドーピング違反に関与した日本人選手が何人も出ている。
他にも男子レスリングフリースタイルのN選手、競泳のK選手等もいるが、ともに大学生だ。

2020年の夏季五輪が東京に決まった際、IOC総会のプレゼンテーションにおいて、JOCの竹田恒和理事長は『日本は過去の五輪、パラリンピックでドーピング違反者を一人も出していない』と日本スポーツ界の健全性を強調した。
皮肉なことに、勝ち取った東京開催がドーピング違反者を増やしているのではないか?との声もある。

そして、今年2月の平昌五輪では、ショートトラックの代表だった斎藤慧が、ドーピング検査で陽性反応を示し、暫定資格停止処分を受け、ついに五輪においても違反者を出した。

世界反ドーピング機関(WADA)は4月26日、2016年のドーピング違反に関する報告書を発表した。
2016年といえばリオデジャネイロ五輪が開催された年だが、WADAは毎年報告書を出している。

競技別では陸上が最多の205件だった。ボディビルが183件、自転車が165件、重量挙げが116件で続いた。国別ではイタリアが最多の147件で、フランスが86件、米国が76件。豪州75件、ベルギー73件、インドと、組織的な不正発覚を受けてリオデジャネイロ五輪で陸上と重量挙げのチーム参加が禁じられたロシアが同数の69件。ロシアは、前年のトップから6番目に下がった。
日本人選手は6件、競技別では陸上競技1、ボディビル3、自転車1、サッカー1となっているが具体的な選手の名前が記されている訳ではない。

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この6人という数字が多いかどうか。
WADAによると、2016年以前の日本人のドーピング違反者は以下の通り。

2015年8
(ボディビル3、ゴルフ1、パワーリフティング3、ウェイトリフティング1)

2014年10
(ボディビル1、自転車2、パワーリンフティング1、ラグビー1、相撲1、テコンドー1、バレーボール2、スキー1…パラリンピック対象者)

2013年6
(ボディビル5、スケート1)

今年と昨年(2017年)が公表されていないので、ドーピング違反者の数と東京五輪招致にどこまで相関があるのかは不明だ。

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April 01, 2018

北朝鮮 2020年東京五輪の参加を表明、過去の日本開催の五輪には参加しているのか?

北朝鮮を訪れていたIOCのトーマス・バッハ会長は、金正恩党委員長が「(2020年の東京オリンピックと2022年の北京冬季オリンピックに必ず参加すると表明した」と明らかにした。

金正恩委員長の言うとおり、北朝鮮が東京五輪に参加すれば、日本開催の夏季五輪へ初参加となる。

1964年の東京五輪には、南アフリカ、インドネシア、北朝鮮、中華人民共和国などは参加していない。
また、当時ドイツは、東ドイツと西ドイツに分断されており、日本は東ドイツと国交がなかったため、両国は統一ドイツとして参加している。
この統一ドイツ選手団は、1956年のコルティナダンペッツォ冬季五輪から1964年の東京五輪までの6回の五輪で組まれた。

1960年代には、ドイツのほかにも分断された国家がいくつかあった。
当時中国は、日本と国交はないばかりか、IOCをも脱退中で、東京五輪に参加をしていない。
さらに中国は、東京五輪開催中の10月16日に核実験を行い、世界を驚かせた。
日韓は1965年になって基本条約を結んでおり、1964年の東京五輪開催時には正式国交はなかったが、東京には154人の大選手団を送ってきた。

南北に分かれていたベトナムは、西側にあった南ベトナム(サイゴンを首都とするベトナム共和国)のみが参加している。

東京五輪の3年後に開催された東京ユニバーシアード。
北朝鮮が正式国名で呼ばれないことを不服としてこの大会ボイコットし、これに同調したソビエト連邦、東ドイツ、ハンガリー、ルーマニアといった共産圏の有力国も参加しなかった。
その後北朝鮮は、日本で開催された2回の冬季五輪、1972年の札幌大会と1998年の長野大会に参加しているものの、1994年の広島アジア大会には参加していない。

●1964年東京五輪
Doitu

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June 25, 2017

アメリカにおいて進むオリンピック離れ?

IOCの最高位スポンサー契約は「TOPプログラム」と呼ばれ、協賛金額は1社年間約100億円以上といわれている。

商業化路線が推進された1984年ロサンゼルス大会以降、五輪マークの独占的使用権など制度が整備され、企業からの協賛金は、各国・地域の国内オリンピック委員会や五輪組織委員会に分配されている。
日本ではパナソニックが1988年から務めていたが、長い間1社のみが続いていた。
ところが、2013年9月に東京五輪の開催が決まってから、ブリヂストン、トヨタが参入、特にトヨタは2024年までの総額1000億円にも上る大型契約と言われている。
これまでの長いTOPプログラムの歴史の中で、自動車会社の契約は初めて。
BMWや日産なども検討していたが、契約に至らなかったほど負担が大きい。
これだけでもIOCにしてみれば「東京を選んで良かった」になる。

一方、コカ・コーラと並んで、長い間五輪を支えてきたマクドナルドが、契約を3年残してTOPから撤退した。
民間企業だから、その理由は様々あるのだろうが、米国のメディアによるとリオ五輪の米国での視聴者は、4年前のロンドン五輪よりもかなり減らしたのが大きいという。

世界地図を見て頂くと判るが、米国とブラジルは経度がかなり重複している。
リオデジャネイロは、米国東部と時差が2時間(サマータイム時を除く)。
昼夜逆転していたロンドンや北京五輪と比べて、条件はかなり良かったはずだが、ロンドン五輪の米国内(NBCテレビ)の平均視聴率は17.5%、平均視聴者数3110万人だったが、リオ五輪の平均視聴率は14.4%、平均視聴者数2540万人は、ロンドンと比べてそれぞれ11%と8%下落した。

確かにグラフで見ると、リオ五輪が低かったのが判る。
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●夏季五輪開会式と閉会式/米国内での視聴者数 
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米国において、あるいは世界中どこでも、五輪離れが進んでいるという話がある。

東京五輪では、5競技が追加されて実施される。
野球・ソフトボールや空手はともかく、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンを実施するのは、これまで五輪を見なかった層にアピールするための追加だ。
さらには、東京五輪で新たに16実施される新種目の中にある3×3バスケットボールは、見事にテレビを意識した新種目だ。

マクドナルドのTOP撤退よりも、ひょっとしたら衝撃的ではないかという話がある。
USOCという組織がある。
JOCと同格の米国五輪委員会のことだが、USOCがこれまで契約していた以下のような多くの米国内向けスポンサーが、この一年で一斉に契約を終了させているのだ。

AT&T(通信)
Budweiser(ビール)
Hilton(ホテル)
Citi(金融)
TD Ameritrade(証券)

いずれも米国を代表するブランドではないか。
(ただし、Budweiserは現在はベルギーの企業の傘下にある。)

AT&Tに代わって、ComcastがUSOCのスポンサーに名乗りを上げているが、この会社はNBC放送の子会社だ。
米NBC放送がIOCと契約した2014・16年五輪の米国向け放送権料は43億8000万ドル。
何とも莫大な金額だが、この金額の12・75%が、実はUSOCに配分されている。

USOCの2016年の税務申告を見てみると、総売上高7億5,600万ドルに対し7,850万ドルの黒字を計上している。
IOCからテレビ放映権の配分として1億7300万ドル、スポンサー契約の配分が1億2100万ドルとある。

USOCは、米国内のスポンサーの動向に関わらず、潤沢な資金が常にあるのだ。


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June 15, 2017

引き受け手のないオリンピック

パリとロサンゼルスの一騎打ちとなっている2024年五輪招致だが、今年9月にリマで開かれるIOC総会では、2024年だけでなく、2028年大会の開催都市も決めることになりそうだ。

費用負担の大きさから、五輪開催に立候補する都市は減っており、IOCとしては、パリ、ロサンゼルスといった開催実績のある2都市をともに確保したいとみられる。


実はIOCには痛いトラウマがあるのだ。

2011年7月6日 南アフリカのダーバンで開かれたIOC総会のこと。
2018年の冬季五輪の開催地が決まろうとしていた。
立候補していたのは平昌(韓国)、ミュンヘン(ドイツ)、アネシー(フランス)の3都市。
平昌は2010、2014年に続いて3回目の立候補、ミュンヘンは初の夏冬開催を目指していた。

1回目の投票で平昌が63票と過半数を超え開催地に決定。
ライバルと見られていたミュンヘンは25票、アネシーは7票に留まった。

この時点でIOCはまだ甘く考えていた。
ミュンヘンは2022年の冬季五輪立候補するだろうと。
なぜならば2022年は、1972年のミュンヘン夏季五輪からちょうど50周年にあたり、記念大会になると誰もが思っていたのだ。
ところが、ミュンヘンは2013年11月に行われた住民投票で立候補に賛同が得られず招致を断念。

ミュンヘン撤退後に2022年冬季五輪の本命と見られていたオスロも、2014年10月、ノルウェー政府の財政保証が得られないことを理由に冬季五輪招致から撤退した。

そして、2015年7月 クアラルンプールで行われたIOC総会。
中国・北京とカザフスタンのアルマトイの二都市で投票を行い、44-40で北京開催が決まった。

ご存知のように2018年平昌、2022年北京、さらにその間の2020年には東京五輪もある。
極東アジアで五輪が続くことは異常事態であり、IOCは焦っている。
せっかく手を挙げてくれたパリとロサンゼルスを、取り逃がしたくないと思っているのだ。

日本では、今朝、共謀罪が成立した。
我が国の首相は、東京五輪を開催するためには共謀罪が必要と言うが、私が共謀罪のない社会と、東京五輪のどちらを選ぶかと問われれば、間違いなく共謀罪のない社会を選ぶ。

今日の朝日新聞の投書欄に作家の赤川次郎氏の投書が載っている。
赤川さんも、共謀罪がなければ五輪が開けないのなら、中止にすればいいと言い切っている。

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●2024年夏季五輪招致

2015年9月 パリ、ロサンゼルス、ハンブルグ、ローマ、ブダペストの5都市が立候補
2015年11月 ハンブルクが辞退
2016年9月 ローマが辞退
2017年1月 ブダペストが辞退

2017年6月 IOC:
パリもロサンゼルスも五輪開催に相応しいので、2024年大会だけでなく、2028年大会も一緒に決めませんか?←今ここ

2017年9月 IOC総会(ペルー・リマ)


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