東京オリンピックを中止にできない訳を簡単にまとめてみた
IOCの2013年から2016年までの収入は57億ドルだが、その73%が米NBCの支払うTV放映権だ。
NBCの支払う五輪一大会の放映権は11億ドル、2020年初頭には、東京五輪のCM枠はは12.5憶ドルで完売している。
IOCは開催都市契約第14条に基づき、放映権料を原資とする拠出金850億円を東京五輪組織委員会に支払うが、大会が中止になればこれをIOCに返さなくてはならない。
IOCの収入の90%は、競技団体とNOCに分配され、今後4年間の運営資金となる。
特にマイナー競技はこの費用を強化と普及に使う。
つまり、東京五輪を中止にすると、IOC、各競技団体の財政は危機的状況に陥る。
五輪開催に際して、余剰金が出れば開催都市に分配金が払われ、リオデジャネイロは15.3憶ドル、平昌は9億ドルを得ている。
が、大会が赤字になれば開催国が財政保証し、補填すると約束をしている。
補填の順番としてはまず東京都、それから日本政府だ。
リオ五輪から各IF(国際競技団体)へ分配された額は合計5億4000万ドル(約577億円)。
その4年前のロンドン五輪の5億1960万ドルからやや増となっている。
IOCは五輪で行われている競技を観客動員数、テレビなどのメディアでの露出など複数の項目に基づいてランク付けをし、これに従って分配金も傾斜配分しているのだ。
2012年のロンドン五輪当時の正式競技は、A~Dの4段階にランク分けされた。
最高のIAAF(当時、現在の世界陸連)が得た分配金は4700万ドル。以下、Bランクの競技が2200万ドル、Cが1600万ドル、Dは1400万ドルだった。
その後、リオデジャネイロ五輪に向けて新たに公表されたランクは、1つ増えてA~Eの5段階になり、最高のAランクは陸上に加えて体操と水泳がBランクから昇格し3競技となった。
日本人が好む競技であるサッカー、バレーボール、卓球、柔道はいずれもランキングの上位にある。
一方で、一度五輪正式種目から外されかけたレスリングや韓国発祥のテコンドーはD、リオ五輪から正式種目となったラグビー(7人制)、ゴルフはEランクにある。
陸上(WA)、サッカー(FIFA)など自己資金が潤沢な競技団体は少なく、IOCから資金分配は、プロのあるバスケットボールやテニスといえども競技の普及や発展のために貴重な金額であり、五輪の舞台から降りたい競技団体は存在しないのである。
五輪競技から外れるとこのカネが入らなくなり、マイナー競技のIFほど運営は苦しくなる。
IFが主催する世界選手権や国際大会のブランド価値も落ち、独自にスポンサーを集める力も衰え、競技人口の減少につながるなどダメージは計り知れない。
スイスにある一非営利団体に過ぎないIOCが、世界のスポーツの生殺与奪の権を握る最大の理由がここにあるのだ。