アメリカで進む五輪離れ リオ五輪の男子バスケットボール決勝は NBAファイナルの1/3の視聴者しかいなかった
3月31日ホーネッツ戦に40分出場し、ゲームハイ&キャリアハイタイの30得点(FG12/25、3P1/2、FT5/5)・4リバウンド・3アシストの活躍を見せた八村塁。
ウィザーズの同僚であるラッセル・ウェストブルックのこと、現在開催中のNCAA男子バスケットボールトーナメントで母校ゴンザガ大学のファイナルフォー進出などについてインタビューに答えている。
八村塁選手、試合後インタビュー。キャリア最多タイ30得点、ウェストブルック”先輩”、ゴンザガ大学のファイナルフォー進出などについて #ウィザーズ|#DCAboveAll|@rui_8mura pic.twitter.com/lPb8982aT7
— ワシントン ウィザーズ (@washwizardsjp) March 31, 2021
米国では3月は、マーチマッドネスと呼ばれるカレッジ・バスケットボールのNCAAトーナメントが爆発的な人気を呼ぶ。
カレッジバスケットの人気は、米国に住んでいないことにわかりにくいかもしれないが、この人気はスーパースター依存ではなく、チームプレーを重視する玄人むけといわれる。
1992年、一度だけこの時期にニューヨークにいたことがあるが、誰もがカレッジバスケットの話題をする、そんな状況だった。
ラッセル・ウェストブルックは、現在32歳。
ロンドン五輪の米国代表で金メダリスト、このときの米国代表には、レブロン・ジェームズ、カーメロ・アンソニー、コービー・ブライアント(故人)などが名を連ねていた。
NBAのドリームチームが五輪に出場するようになって、米国が金メダルを獲れなかったのはアテネ五輪の1回のみ。
さぞかし米国のバスケットファンは、五輪のバスケットを楽しみにしている…と思うだろう。
興味深いデータがある。
リオ五輪があった2016年の米国で、最も視聴者があったバスケットボールの試合ベスト10だ。
キャバリアーズ とウォリアーズによって争われたNBAファイナルが上位に来ているが、キャバリアーズが優勝を決めた7戦目は、なんと3100万人もの米国人が視聴している。
ベスト10には、NCAA(マーチマッドネス)の試合が2つランクインしているが、五輪の決勝 米国 対 セルビア はそれよりも下、10位でしかない。
1170万人が視聴しているが、NBAファイナルの1/3でしかない。
ご存知のようにIOCの最大の収入源はテレビ放映権料だ。
NBCテレビは、2014年ソチ五輪から夏冬10大会の米国向け五輪放映権を計120億ドル(約1兆3000億円)で取得している。
夏冬含めた一大会平均は12億ドル。
では、米国のテレビは、米国内のバスケットボール中継にはいくら支払っているのか。
NBA 27億ドル (ABCテレビ)
NCAA 7.7憶ドル (ターナー)
この金額は1シーズンの全ての試合を含んでいるのだが、NBAの方が、五輪一大会よりもずっと高いのだ。
なぜ、東京五輪が、前回1964年のように10月に開催できないのか、真夏の東京を危惧する声が聞こえるたびに「米国のプロスポーツと日程がぶつかるから」とその理由が言われてきた。
正確には「米国のプロスポーツと日程がぶつかり、そちらの方が放映権も高額で、多くの視聴者が見込めるから」となる。
もっとも、地球には中国という国があって、彼らはバスケットボールが大好きで、米国よりもはるかに多くの人が、NBAも五輪のバスケットも見ている。