アメリカにおいて進むオリンピック離れ フィギュアスケート(2022年版)
私はこれまでも、米国において五輪離れが起きていると指摘してきた。
北京冬季五輪のゴールデンタイムの報道は、NBCのテレビプラットフォーム全体で平均1,070万人の視聴者であり、テレビ以外のプラットフォームのストリーミング視聴者数を含めて1,140万人だった。
これは、夏季・冬季の五輪のゴールデンタイムの報道の中で最も低い数字だ。
これまでの最小値は、昨年の東京五輪の1560万人であり、平昌、東京、北京と3大会連続してワーストが続いている。
冬季五輪だけ見ても北京は平昌(1980万人)から42%、平昌も2014年のソチ(2130万人)から46%減少した。現在、世界的に見たら判らないが、米国内での視聴者数は減少は続いている。
フィギュアスケートは、冬季五輪の華であり、どの大会でも高い視聴率を稼いできた。
特にナンシー・ケリガンとトーニャ・ハーディングの米国人選手が争った1994年のリレハンメル五輪の女子フィギュアは、米国テレビ史に残る高視聴率を上げている。
私も現場にいた長野五輪の女子フリーは、当時16歳だった荒川静香が13位。米国のタラ・リピンスキーの金メダルが決まったのが日付の変わる少し前の23時30分。1998年2月20日金曜日のことだ。
これは米国東海岸の朝9時30分にあたり、米国の熱心なフィギュアファンは金曜日の朝にリピンスキーを応援し、15.8%のまずますの視聴率を取っている。
長野五輪では、同じく米国のミシェル・クワンも銀メダルを獲ったが、この大会以降、米国女子はメダル争いに絡めなくなり、視聴率も芳しくなくなる。
そこで、4年前の平昌五輪は、米国の視聴者に合わせ、韓国時間の昼に行われた。そういえば、羽生結弦やザギトワの演技を、昼休みを延長して観たという人も多いのではないか。
今回の北京五輪は、男子フリーは米国時間に合わせて行われたが、女子は中国の視聴者に合わせた時刻に行われた。
とはいうものの、ドーピング検査で陽性となり、女子シングル4位に終わったフィギュアスケートのカミラ・ワリエワ(ROC)が、世界的な話題となり、視聴率に好影響をもたらすとの見方もあったが、結果は低い数字だった。
北京五輪の放映権は、NBCユニバーサルが2014年に6大会一括で契約した最初の大会だった。
総額は77.5億ドル、つまり1大会あたり13億ドルと言う巨額になり、2032年のブリスベーン夏季五輪まで契約は続く。
が、巨額を支払うNBCは、強気を崩さない。
NBCオリンピックのメディアパートナーは数百万人に達したと胸を張る。
Facebook、Twitter、Instagram、TikTokのNBCオリンピックのコンテンツは10億回以上のインプレッションがあり、平昌五輪と比べて、すべてのソーシャルプラットフォームでの動画再生回数は、69%増加した。
特に、北京から開始されたTikTokでは、2億2950万回の動画が再生され、五輪期間中にTikTokの NBC五輪アカウントは、37万人以上の新規フォロワーがあったという。