中東の笛

February 02, 2015

カタール代表 世界ハンドボールで準優勝

アジアのスポーツに詳しい方なら、カタールが金に物を言わせて、世界中から選手を集め各競技のカタール代表を強化していることはご存じだろう。
日本ではほとんど報じられることはなかったが、昨日2月1日まで男子ハンドボールの世界選手権がカタールで開催されていた。
優勝は、ロンドン、北京と五輪2連覇中のフランス。
準優勝は開催国のカタールで、決勝は25-22の僅差だった。

ただ、ドイツ誌によると、カタール代表の17人中純粋なカタール人は4人のみ。
他の13選手は帰化及び二重国籍選手だという。 
例えばカタール代表のGKは、ダニエル・サリッチというFCバルセロナのハンドボールチームの不動のGKだ。
サリッチは、1977年に旧ユーゴスラビアのドボイで生まれた。

ハンドボールの代表歴は
セルビア・モンテネグロ(2004-2006)
 ↓
セルビア(2006-2007)
 ↓
ボスニア・ヘルツェゴビナ(2010-2011)
 ↓
カタール(2014-)
と4か国目になる。

世界的な選手とは言え、これまで五輪出場の経験はない。
が、このままいけば来年のリオ五輪は堅いところだ。
スポーツの代表については意見が様々ある。
カタールはルールを破っている訳ではない。
モラルや常識は、国や場所が変われば全く違うものだ。

ちなみにカタールの人口は220万人弱。
その内純粋なカタール人は50万人程度らしい。

かつて、アジアのハンドボールというと韓国が強かったが、現在はカタールが年代別のアジア選手権をほぼ制している。
近年のハンドボールカタール代表の戦績をまとめてみた。

A代表
2014年 アジア大会優勝 日本9位
2014年 アジア選手権優勝 日本9位
U20代表
2014年 アジアジュニア選手権優勝 日本3位
2012年 アジアジュニア選手権優勝 
2010年 アジアジュニア選手権優勝
U19代表
2014年 アジアユース選手権準優勝 日本3位
2012年 アジアユース選手権優勝 日本2位
2010年 アジアユース選手権優勝

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February 23, 2008

中東の笛吹かず クウェート、日本ともに敗退

ハンドボールのアジア選手権 22日は大会4連覇を狙うクウェートが地元のイランに3435で逆転負けし、3チームが勝ち点で並んだ。大会主催者はA組全体の得失点差から13位はイラン、バーレーン、クウェートの順となると公表していたが、当該3チームの得失点差で争うとするAHFの規約に従って訂正された。国際ハンドボール連盟(IHF)のコズコフ競技委員長は「AHFの規約を尊重して受け入れた」と説明している。

以下はクウェートA組3位の情報の時点で書いたエントリーです。

イランで開催中の、2009年の世界選手権の予選を兼ねたハンドボールアジア選手権の予選リーグが終わった。
前日カタールに惜敗した日本はB組4位。アーマド王子率いるクウェートはA組3位。
上位3カ国が世界選手権の出場権を得ることになっていたが、日本、クウェートともに世界選手権出場を逃した。

バスケットボール、バレーボールに続き、公正なジャッジのもとでは、ハンドボールも東西アジアの実力差がなくなり、どこの国が勝ってもおかしくない状況にあると言うことだろう。

日本は、注目を浴びた後だけに世界選手権のキップは獲っておきたかったし、クウェートとガチでやって勝って欲しかった。

A

TEAMS

Matches

Goals

class

Played

Won

Ties

Lost

For

Against

Diff

points

1

イラン

4

3

0

1

137

122

15

6

2

バーレーン

4

3

0

1

128

114

14

6

クウェート

4

3

0

1

122

109

13

6

中国

4

1

0

3

113

131

-18

2

レバノン

4

0

0

4

103

127

-24

0

B

TEAMS

Matches

Goals

class

Played

Won

Ties

Lost

For

Against

Diff

points

1

韓国

4

3

0

1

131

117

14

6

2

カタール

4

3

0

1

125

122

3

6

3

サウジアラビア

4

2

1

1

120

113

7

5

4

日本

4

1

1

2

128

120

8

3

5

UAE

4

0

0

4

109

141

-32

0


●アジア選手権 上位3カ国と日本、韓国、クウェートの順位
1991 1.韓国 2.日本 3. 中国 8.クウェート
1995 1.韓国 2.クウェート 3.日本
1997 1.クウェート 2.韓国 3.バーレーン 4.日本
2000 1.韓国 2.中国 3.日本 クウェート不参加
2002 1.クウェート 2.カタール 3.サウジアラビア 4.韓国 6.日本
2004 1.クウェート 2.日本 3.カタール *
2006 1.クウェート 2.韓国 3.カタール 7.日本

2004年のアジア選手権に韓国はアテネ五輪に専念したいと不参加。
2008年日本は7・8決定戦で中国と対戦、敗れれば史上最低のアジア8位となる。

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February 08, 2008

ちょっと違うよ セルジオ越後

朝日新聞2月7日 「私の視点ワイド」にサッカー評論家のセルジオ越後氏が寄稿している。
だけど、ちょっと違うんじゃないか?(一部抜粋)

「中東の笛」は、たまたまではなく、長年の常識と言われているが、負けた側がジャッジを問題にしても、説得力がない。この間、韓国は何度も五輪に出場している。問題の本質は「日本はなぜ勝てなかったのか」ということにある。ジャッジミスがあっても負けないほどの実力をつけるべきで、そのために何をしてきたのか、ということが本来問われるべきである。

サッカー評論家として辛口で通っているセルジオ氏だが、ハンドボールについては何にも知らないんだな。
>この間、韓国は何度も五輪に出場している。

中東の笛が吹かれたアジア予選で、韓国が勝ち抜いたことは一度もない。
以下1992年以降の五輪予選の結果だ。

●1992年バルセロナ五輪予選 1991年広島開催
1. 韓国 五輪出場権獲得
2. 日本
3. 中国
4. カタール
5. バーレーン
6. UAE
7. 台湾
8. クウェート

●1996年アトランタ五輪予選 1995年クウェート開催
1. クウェート 五輪出場権獲得
2. 韓国
3. バーレーン
4. 日本
5. 中国

●2000年シドニー五輪予選 1999年熊本開催
1.韓国 五輪出場権獲得
2.中国
3.日本
4.台湾
5.イラン

●2004年アテネ五輪予選 2003年神戸開催
1. 韓国 五輪出場権獲得
2. 日本
3. 中国
4. 台湾

1991年に開催されたバルセロナ五輪予選、これは中東の笛以前の大会で、順当に韓国が出場権獲得した。
1995年にクウェートで開かれたアトランタ予選。
このあたりから中東の笛がまかり通るようになり、日韓ともに敗退、クウェートが五輪出場(最下位)。
1999年のシドニー五輪予選、2003年のアテネ五輪予選はそれぞれ熊本、神戸で開かれ、クウェートは参加しなかった。

2003年のときは、中東の笛に業を煮やした日本協会は、アジア予選に合わせてIHF(国際ハンドボール連盟)の理事会を神戸に持ってきた。
IHF幹部の前でアジア予選を開催しようとしたら、クウェート様御一行は、尻尾を巻いて逃げて行ったのだ。
このときにはアジア予選をモデルにレフリー研修会も開かれている。

日本代表が弱いことと、不公正な審判は全く別の問題だ。
セルジオ氏の論からすれば、実力で勝ちさえすれば相手がどれだけ不公正な審判の恩恵を受けても構わないということになる。
それは違っていないか?

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February 01, 2008

クウェートの王子はオイルマネーを握った某国の将軍様か

NNNニュースより

ハンドボールの北京オリンピック予選のやり直し試合は、男女ともに韓国が日本を破って、北京オリンピック出場を決めたが、AHF(=アジア・ハンドボール連盟)は日本と韓国を処分する意向。「(我々は認めていないが)男子、女子ともに韓国が勝った。日本に何の利益があったのか。日本と韓国には処罰を下す」AHF・アブアライル事務局長は現地時間30日、NNNに対し、やり直し予選を認めない姿勢をあらためて示すとともに、近日中に開かれる会合で日本と韓国に対する処分を検討することを明らかにした。http://www.ntv.co.jp/news/102281.html

何の利益があったかって?
ハンドボールあるいはスポーツを知らない人は「ごねてやり直しさせたのに負けてカッコ悪い」と思ったかもしれない。
不公正な審判が、長い間続いてきたことにメスが入っただけでも、十分な利益だ。

公正な審判とアジア連盟正常化への努力は、五輪出場以上に価値がある。

さらに例え再予選が赤字でも「日本ハンドボール」の宣伝効果は十分だったのではないか。

日本も韓国も五輪予選をやり直してくれなんて今まで、一度も一言も言ってない。
IHFに日本協会と韓国連盟が連名で提出したのは「審判についての改善提案」であって、両国は、世界選手権、五輪に通じる大陸予選を、IHFの直接管理下で実施し、IHFが直接、審判を指名することを要求しただけだ。

これに対しIHFはダーティなイメージができてしまったハンドボールが五輪から除外されることを恐れ、再予選という結論になった。
これを受けて公正な審判でもう一回予選をやろうとで、日韓だけでなく、中東にも再予選呼びかけたにも関わらず、クウェートもカタールも応じず、日韓一騎打ちになったということだ。

肝心のクウェートの王子ことアーマドは、「中東の笛」についてはコメントせず、話の挿げ替えに終始する。
まるでオイルマネーを握った某国の将軍様のようだ。

AHFのアーマド会長は「中東の笛」と呼ばれる疑惑の判定については判断を棚上げし、やり直しを求めた韓国の提訴が期限を過ぎていたほか、提訴した主体が韓国ハンドボール協会ではなく、韓国五輪委員会だった点などが、ルールに従っていないなどと非難。女子については、抗議がなかったのに、男子と同様にやり直すのはおかしいなどと、論点を手続き論にすり替えた。


(追 記)

かつての全日本の大エース 蒲生晴明さんがスポニチのインタビューにこんな話をしている。あまりに凄いので紹介する(一部加筆)。

(蒲生)こんなこともあった。1998年のバンコクアジア大会。日本の初戦のクウェート戦は引き分け。それから日本が2勝して、クウェートは最終戦を残して日本と得失点差は48点あった。48点だよ。ところがマンガみたいな話だけど、最終戦で彼らは63-14で勝ったんだ。49点差でね。
――そのときのタイムキーパーが今回のクウェート戦の審判でしたね
(蒲生)そう。この2人の息はピッタリでね。
――では、その点差になるまで試合が終わらない?
(蒲生)ウソのような話でしょ。そんな現実が10数年続いてきたんですよ。

このときの記録を探してきた。
●1998年バンコクアジア大会ハンドボール予選A組

127

15:00

クウェート

21-20

UAE

127

17:00

日本

54-15

タイ

129

15:00

クウェート

20-20

日本

129

17:00

UAE

40-19

タイ

1211

15:00

日本

29-19

UAE

日本が先に試合を終わり21分け得失点差48A組の1位が決勝進出、2位なら3位決定戦に回る。クウェートは49点差以上でタイに勝たないと1位になれない。すると

1211

17:00

クウェート

63-14

タイ

予定通りクウェートは49点差でタイに勝利。

こんなことってある訳ない。

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January 28, 2008

危うし東京五輪招致 クウェート王子の逆鱗に触れる

昨日、ノルウェーのリレハンメルでハンドボールの欧州選手権決勝が行われ、デンマークがクロアチアに24-20で勝ち、北京五輪の出場権を手にした。

リレハンメルはご存知のように1994年の冬季五輪開催地。人口23000人の村ながら、素晴らしい五輪を開催した。
今回のハンドボールの試合は五輪時にはアイスホッケーの主会場だった「ホーコンホール」ホーコンとはリレハンメル五輪のマスコットの名前だ。
会場の収容人数は11000人、この日の観客は9052人だから死角になる席を除いてほぼ満員だった。
ヨーロッパはハンドボールの本場、非常に盛り上がる。

この日国際ハンドボール連盟の(IHF)のハッサン・ムスタファ会長(エジプト)が記者会見し、IHFの管理下で予選をやり直す決定が最終的なものであるとして、反発するアジア・ハンドボール連盟(AHF)の意向にかかわらず、29日から東京で開かれる予選の勝者が五輪出場権を得ると明言した。
以前にも指摘した通り、ムスタファ会長はエジプト人であり、クウェート王子のアーマド氏の肝いりでIHFの会長についたとされる。
公式の場でIHFの会長が始めてこの問題について明快に答えた。そして「韓国や日本はIHFに従っており、何のミスも犯していない」とも述べ、AHFが両国に処分を科した場合は認められないとの見解も示した。
今回ここまでIHFが踏み込むのには、アンフェアな状態が続くと五輪の種目からハンドボールを外すと、IOCが警告したためだ。

Ahmadこれに対し、アジアハンドボール連盟会長であるクウェート王子のアーマドは「日本で五輪予選を開催した場合、東京五輪招致を私は支持しない」と日本協会の渡辺会長に発言していたことがあきらかになった。(朝日新聞)
朝日の記事は、
アーマド会長はアジア・オリンピック評議会(OCA)の会長でもあり、中東やアフリカを中心に「30票を持っている」と言われる実力者。日本オリンピック委員会や東京都が力を入れている五輪招致活動に波紋を投げかけそうだ。と結んでいる。

アーマドが会長を務めるアジア・オリンピック評議会(OCA=OLYMPIC COUNCIL OF ASIA)は、1982年に、前身のアジア競技連盟(AGF)を継承して設立された。
実は日本も日本主導でも別の組織を作ろうとしたのだが、イスラム圏の結束と潤沢な資金に適わなかった経緯がある。
このOCAはいわばIOCのアジア版であり、憲章にはスポーツ振興、体育施設の建設、そして凄いことにフェアプレーの奨励などもうたっている。
OCAは設立当時からイスラエルをメンバーから外すなど伝統的にアラブ色が強く、イラクのクウェート侵攻後はイラクを長い間追放していた。

オイルマネーを背景にアーマドの父親のシェイク・ファハドが初代会長となり、本部をクウェートに作った。
このシェイク・ファハドこそが、1982年のスペインW杯のフランス対クウェート戦で、アラン・ジレスのゴールを取り消したその人だ。
1990年のイラクのクウェート侵攻でシェイク・ファハドが死亡すると、その息子であるアーマドが後を継いだ。
現在アーマドは下記のようなスポーツ界の要職にある。

OCAアジアオリンピック評議会会長
AHFアジアハンドボール連盟会長(常任理事6人のうち3人はクウェート人)
IHF国際ハンドボール連盟理事(理事の2人がクウェート人)
そして国際オリンピック委員会IOC委員だ。

気になるIOC委員30票を動かすアーマドだが、北京や大阪が立候補していた2008年五輪招致レースにおいては1998年8月の段階では「OCAの会合を招集し、アジアでの夏季五輪開催に向けて大阪支持を取り付ける。OCAもオリンピック・ムーブメントの一本部として、単なるバックアップだけではなく、キャンペーンを張っていかなければならない」と、大阪支持を打ち出していた。
にも拘らず、僅か4ヵ月後には「開催地をアジアに持ってくることが最も重要。北京が最も強力な候補と思う」と北京支持に変わっている。
そしてOCAが先頭に立って積極的な北京の招致運動をバックアップした。

中東やアフリカさらにはイスラム圏の国のスポーツ関係には莫大な額の援助がクウェートから出ている。
30票もあながち誇張ではない。

2016年五輪に立候補しているのは次の都市
アゼルバイジャン バクー
アメリカ合衆国 シカゴ
カタール ドーハ
スペイン マドリード
チェコ プラハ
ブラジル リオデジャネイロ
日本 東京

書類選考で3~4都市に絞り、IOC委員による投票になると思われる。
7都市のうち、ドーハはアラブのグループ、バクーはイスラム仲間だ。
だが、ドーハもバクーも最終選考には残らないだろう。
とすると、アーマドのまとめる30票はどこへ?

photo:IOCのサイトより
アーマドはAhmad Al-Fahad AL-SABAHと綴るが、AhoMadのほうが良かったのに・・・。

●参考記事
国際ハンドボール連盟の会長は再試合反対?
クウェートの王子が牛耳るハンドボール

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December 21, 2007

女子のハンドボールも疑惑の五輪予選

12月2日から16日までフランスで世界女子ハンドボール選手権大会が開催されていた。
優勝はロシア、2位がノルウェー、3位ドイツという結果だった。
アジアから出場した韓国は6位、カザフスタン18位、日本19位、中国21位(参加24カ国)。
これが実力がほぼ反映された順位とする。

この3ヶ月前北京五輪アジア予選がカザフスタンのアルマトイであった。日本、韓国、カザフスタンの直接対決の結果は下記のようになる。

8月25日(土)
日 本   30 (13-14, 17-15) 29   韓 国
8月27日(月)
日 本   22 (15-14, 7-14) 28   カザフスタン
8月29日(水)
韓 国 32 (15-15, 17-16) 31   カザフスタン

●最終順位
1位 カザフスタン(2勝1敗)  五輪出場権獲得
2位 韓国(2勝1敗)  世界最終予選出場権獲得
3位 日本(2勝1敗)  この時点で世界最終予選出場権獲得はしていない
4位 カタール(3敗)
 
カザフスタン、韓国、日本は2勝1敗(勝ち点4)で並んだが、3チーム間の試合における得失点差により、順位が確定。

「中東の笛」ではないがカザフスタンを五輪に行かせるためのシナリオがあったと見る。
カザフスタンは、実力アジア1の韓国にたとえ負けたとしても優勝しなければならない。
そのためには、韓国が日本に負けてくれると好都合。
日本対韓国は、日本有利に笛が吹かれ、日本勝利。

日本がカザフスタンに勝ってしまうと、カザフスタンは優勝できない。
日本対カザフスタンは、カザフスタンに有利に笛が吹かれた。
日本は7人の退場を出す大荒れの試合の末敗退。

韓国対カザフスタンは、カザフスタン有利の笛が吹かれても、得失点差を見ながらぎりぎりのところで韓国が辛勝。
カザフスタン北京五輪権獲得。
そしてこの大会 カザフスタンは一切の映像撮影を認めなかった。 

アジアのスポーツ界では、残念ながらまだまだこうしたことが普通に行われているようだ。
国際ハンドボール連盟は、女子は「お咎めなし」とするかと思っていた。
この際膿は出しておこうとの判断か。
日本に有利すぎるバレーボールも、いつの日か誰かにしっぺ返しされそうで心配だ(笑)。

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国際ハンドボール連盟の会長は再試合反対?

中日新聞に、北京五輪予選を再試合と決めた国際ハンドボール連盟の理事会に出席した 日本ハンドボール協会の渡辺佳英会長のコメントが出ている。

再試合を求める動議が出されると、2人のクウェート理事が「他にも(不可解判定の)試合はある」「オレたちは金を持っているんだぞ」と激高した内幕も暴露。
結局、採決の結果は男子が賛成11、反対3、棄権1で、女子は賛成8、反対5、棄権2。男子の再試合に反対したのはクウェートの2人とエジプトの1人だったという。(中日新聞)

IHF国際ハンドボール連盟の理事会のメンバーは以下の17名だ。
採決に参加したのは15名とあるので、当日欠席があったものと思われる。
日本協会の渡辺佳英会長は大崎電気の社長を務めるビジネスマンだが、IHFの会長はなんとエジプト人。その名もハッサン・ムスタファ氏。典型的なイスラムの名前だ。クウェートの役員と通じていたのだろう。
エジプト人の役員は1人であるため、会長は再試合に反対したことになる。
そして「中東の笛」の元凶であるクウェートからは2人が名を連ねている。
わずか17人の理事会のメンバーにクウェートから2人。いかにも歪(いびつ)だ。恐らくはオイルマネーで確保したポジションだろう。

●IHF理事会メンバー
会長 Dr Hassan MOUSTAFA (エジプト)
アフリカ副会長 Christophe YAPO ACHY(国籍不明)
アジア副会長 Bader AL-THEYAB (クウェート)
欧州副会長 Tor LIAN(国籍不明)
パンナム副会長 Manoel Luiz OLIVEIRA (ブラジル)
オセアニア副会長 Vernon WINITANA (NZ)
Peter MÜHLEMATTER (スイス)
Miguel ROCA MAS (スペイン)
Alexander KOZHUKHOV (ロシア)
Christer AHL (米国)
Naser ABU MARZOUQ (クウェート)
François GNAMIAN (アイボリーコースト)
Carin NILSSON GREEN (スウェーデン)
Mansourou AREMOU (ベナン)
渡辺佳英(日本)
Jean BRIHAULT (フランス)
Mario Garcia DE LA TORRE (メキシコ)

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December 18, 2007

異例! ハンドボール北京予選男女ともにやり直し

ハンドボールの北京五輪アジア予選で判定をめぐるトラブルが相次いだ問題で、国際ハンドボール連盟(IHF)は17日、パリで理事会を開き、男女の五輪アジア予選を再試合とする異例の決定を下した。
2008年1月末までにIHFの管理下で行われ、詳細は近日中に発表される。(共同)

既に結果の出ている五輪予選をやりなおしにするとは、極めて異例のこと。
IOCがIHFに対し、この問題(中東の笛)を正常化できなければ、五輪正式種目からハンドボールを外すと最後通告したとのはなしだ。

先の予選で、男女とも日本代表はアジア3位に終わり、男子は5大会連続して五輪出場権が獲れず、女子は世界最終予選で一縷の望みに賭けることが決まっていた。
女子は、アテネ五輪銀メダルの韓国に1点差で勝利したにも関わらず、カザフに敗れ北京の出場権は獲れなかった。

宮崎大輔がいる間になんとか五輪に出て欲しい、関係者はみんな思っているだろう。
今度は韓国に勝ってほしい。
とはいうものの、男子の日本代表を率いてたリマニッチ監督は勇退したばかり・・・。
誰が指揮をとるのだろうか?
日本リーグはどうなるの?


追記:女子のハンドボールが五輪正式種目になったのは1976年のモントリオール五輪。
このときに日本女子代表は唯一の五輪出場(5位入賞)を果たしている。

記録に残るのはこの予選だ。
アジア予選は日本で開催された。
今でこそハンドボール強国の韓国も当時はあまりに弱く予選に参加せず、中国はIOCに復帰しておらず、日本とイスラエルの2カ国で出場権を争った。

複雑な中東情勢によるテロを配慮して、試合は会場も公表されない「無観客試合」で行われた。
選手自身も乗り込んだバスがどこに向かっているか、わからなかったということを聞いたことがある。
(実際には市川市で開催された)
実力に勝る日本が勝利し、五輪出場権を手にするのだが、30年余年経って今度は再試合とは何かの因縁だろうか。

●参考記事
クウェートの王子が牛耳るハンドボール

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December 14, 2007

これがジレスのゴールを取り消したクウェートの王子だ

前回、アジアのハンドボール界を牛耳るクウェートの王子を紹介したが、この王子の親父の存在が世界に知られるきっかけとなった1982年のスペインW杯 フランス対クウェートの動画がyoutubeにあった。
ヨーロッパの人にとってこの試合は衝撃だったのだろう。たくさんの動画やサイトがある。 

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December 13, 2007

クウェートの王子が牛耳るハンドボール

スポーツの世界で権力を持ち、自国に有利になるようなりふり構わずしたいことをする人がいる。
例えば某自動車メーカーのC氏、例えば徳川の血を引くM氏、でもこの二人よりも凄いかもしれないのがこの人だ。

その人とはクウェートの王子ファハド氏だ。

彼がその名を世界に轟かせたのは、1982年のスペインW杯。
クウェートは1カ国のアジア代表として出場し、予選グループD組で優勝候補のフランスと対戦した。
アラン・ジレスのゴールが決まると、クウェート王子が競技場に乱入、審判に猛抗議してシュートを取り消しにするという事件を起こした。

この王子が現在牛耳っているのはハンドボール。
アジアハンドボール連盟の会長をしている
アジアの男子の実力は韓国>日本>クウェートというのが順当なところだと思うが、クウェートの王族で事実上支配するアジアハンドボール連盟は審判員の選択を独断で決め、主要国際試合でクウェートが勝つように仕組んでいるのだ。
15年くらいこの状況は続いているが、この偏った審判を「中東の笛」と呼んでいる。

北京五輪の出場権を掛けたアジア予選が今年9月に豊田市であった。
その結果

1位 クウェート(4勝)北京五輪出場権獲得
2位 韓 国(3勝1敗)北京五輪世界最終予選出場権獲得
3位 日 本(2勝2敗)
4位 カタール(1勝3敗)
5位 UAE(4敗)
となった。

開催国である日本ハンドボール協会は「五輪がかかる大事な試合の笛は中立国の欧州から招待した審判に吹いてもらいたい」と求めたが、アジア連盟はこれを無視。
韓国-クウェート戦では、ヨルダン人の審判員が不可解な判定を連発。抗議した韓国人選手が退場処分となった場面もあり、観客席からペットボトルが投げ込まれる騒動になった。実力1位の韓国が不可解な判定の連続でクウェート戦に敗れ、日本も同じようにクウェートに敗れた。
JOCの常務理事も務める日本ハンドボール協会の市原則之副会長は「スポーツの尊厳にかかわる」と訴えたが覆らなかった。

日本協会はこの試合で38回の不正ジャッジを確認し、試合のDVDをIHF国際ハンドボール連盟加盟178カ国に送り、世界にアジアの現状を訴えた。その結果、現在女子の世界選手権の行われているパリで17、18日にIHF理事会の議題として審議されることになった。
日本と韓国はアジア予選の再試合も求める方針だという。

バレーボールW杯での露骨な日本びいき、野球アジア予選での韓国のオーダー変更、遡ればスキージャンプでの日本たたきのためのルール改正もあった。
残念ながら、どのスポーツも公平中立とは限らない。ある程度の政治力はやむを得ないこともある。
これが目に余るほどになると、競技の普及の障害になることに気づくべきだ。

●参考記事
これがジレスのゴールを取り消したクウェートの王子だ

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