ソチ五輪への道

November 17, 2015

ロシア選手がスピードスケートで世界新もドーピングの影がつきまとう

11月15日にカナダ・カルガリーで行われたスピードスケートのW杯男子500mで、パベル・クリズニコフ(ロシア21歳)が34.00の世界新記録を出した。
これまでの記録は、カナダのジェレミー・ウォザースプーンが2007年に出した34.03。
この記録をを8年ぶりに更新した。

ロシア、世界新と聞くといやな気分になる人も多いだろう。
陸上競技でドーピング疑惑に揺れるロシア。
陸上以外の競技の選手も当然白い目で見られている。

加えてパベル・クリズニコフは、2012年に帯広で行われた世界ジュニア選手権で、1000mに優勝、500mも3位に入ったが、レース後にメチルヘキサナミンに陽性となり、2年間の資格停止処分となった。
この2年の間には、地元開催のソチ五輪があったことは言うまでもない。

クリズニコフが陽性となったメチルヘキサナミンは、鼻づまり治療のための鼻孔充血抑制薬として用いられていた薬だが、興奮剤としてWADAによって禁止薬物に加えられた。
クリズニコフは、陽性発覚後、風邪のための鼻スプレーの薬物として用いたと主張した。が、当然通らなかった。

ドーピングによる資格停止が解けて、今年2月、オランダ・ヘーレンフェインで行われた世界距離別選手権に出場したパベル・クリズニコフは、①34.38、②34.54の驚異的な記録をそろえて初制覇をしており、現役最強のスプリンターであることは誰しもが認めること。

ご存知のように、ソチ五輪の男子のスピードスケートはオランダが圧勝し、日本もロシアも惨敗だった。
クリズニコフもどこかで唇をかみしめていたのかもしれない。

とはいうものの、今回のロシアのように大掛かりなドーピングが発覚すると、その国の他競技にまで影響が及ぼされるいい例だ。

500ranking


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July 30, 2015

北京かアルマトイか 2022年冬季オリンピック開催地明日決定

7月31日に2022年の冬季五輪開催都市が決定される。
立候補しているのは北京とアルマトイの2都市のみ。

元々は2018年の開催地を平昌と争ったミュンヘン(ドイツ)のほかサンモリッツ(スイス)、クラクフ(ポーランド)、リビウ(ウクライナ)、オスロ(ノルウェー)、ストックホルム(スウェーデン)の8都市が名乗りを上げていた。

この内、ミュンヘンとサンモリッツは地元市民の反対で立候補を取り下げ、ストックホルム、クラクフ、リビウも立候補を断念。

IOCの第1次選考を通過後に、オスロが国内の賛成が得られないことを理由に立候補を辞退した。
オスロは、1952年に冬季五輪を開催した大本命のはずだったが、ノルウェー国民への世論調査でも60%が五輪開催に反対を表明し、政府が辞退を決めた。
ノルウェーは、史上最高の冬季五輪と言われるリレハンメル五輪(1994年)の実績もあったが、今回は世論が盛り上がらなかった。

その理由のひとつに昨年のソチ五輪がある。
ロシア政府は、ソチ五輪のために5兆円とも7.5兆円とも言われる投資をし、それを目の当たりにした欧州各国の立候補都市は尻込みしてしまった。

北京はご存知のように2008年の夏季五輪の開催地。
北京市内でスケート競技を、河北省張家口で雪上競技を行う広域開催になる。
北京から張家口まで距離にして150キロある。
東京から150キロというと南アルプスの長野側~諏訪湖の手前あたりになる。
言わば東京五輪で、長野五輪の施設を使うみたいなものだ。

大国の中国政府が付いているから、開催に問題はなさそうだが、2018年に平昌冬季五輪、2020年に東京五輪と続いた後、にアジアで三たび五輪を開催することにIOCとしても抵抗があるのは間違いない。


現在スピードスケートと言うと、屋内のスケート場を思い浮かべるだろう。
だが、最初にスピードスケートを屋内で実施したのはカルガリー五輪(1988年)。
現在のスピードスケートの世界記録はここか、リレハンメルのハーマルでほとんどが出されている。

カルガリー五輪以前にも「世界記録製造リンク」と呼ばれるスケート場があった。
その名はメデオ
標高1691mの高地、リンクを林が覆い風が遮られた。
昔からスピードスケートをよく見ている方なら、メデオの名前を聞いただけで涙が出るのではないか。
メデオは旧ソ連の科学の英知を結集させたようなイメージの施設だったが、実はアルマトイの郊外にある。
五輪開催が決まれば、屋外リンクに屋根を付ける。

アルマトイは天山山脈の北側に位置し、市内近郊にスキーリゾートがある。
12月になれば良質の天然雪が積もり、環境に優しい。

ソチ、平昌と人工雪の五輪が続き、さらに北京で人工雪の中のスキーは見たくない。
恐らく世界中のスキー関係者がそう思っているだろう。
が、IOC委員のすべてがウィンタースポーツに詳しいわけではない。
アフリカや、東南アジア、中南米の出身の委員も多くいる。
彼らはスキーが人工雪で行われようが、天然雪で行われようがあまり気にしていないのではないだろうか。

とするとやはり北京が有利。
でも北京から張家口まで150キロは遠すぎる。


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April 01, 2015

羽生結弦の今季の賞金は68,000ドル フェルナンデスに及ばず

先に行われていたフィギュアスケートの世界選手権には以下の11の企業が公式スポンサーとして名を連ねている。
その内日本企業が8社を占めた。

 アコム (日本)
 全日空 (日本)
 キャノン (日本)
 セリエ・デ・ドーファン (フランス)⇒(フランスワイン)
 シチズン (日本)
 ギノー (フランス)⇒(化粧品)
 木下グループ (日本)
 コーセー (日本 )
 マルハン (日本)
 マリコール (フランス)⇒(エステティック・ブランド)
 リンナイ (日本)

時計メーカーのシチズンは、1982年からISUのスポンサーを務めており、最も古いスポンサーだそうだ。
今年目についたのはリンナイ。
世界フィギュアの開催地が上海だったため、漢字によるロゴもあったがなんと「林内」。
もっとも林兼吉氏と内藤秀次郎氏の二人の創業者から一文字ずつ取った企業名で、中華圏においては林内が正式名称だそうだ。

この世界フィギュアをもって、今季のフィギュアスケートのシーズンは終了したが、主な選手の獲得した賞金を計算してみた。

Isu
金額はすべて米ドル

世界選手権と欧州選手権の両方を制したフェルナンデスが、賞金総額でも羽生を圧倒した。
アジアや米国勢にとって、欧州選手権に該当する大会として、四大陸選手権があるが、各国共にトップに準ずる選手を派遣する傾向にあるため、今季は特に差が大きくなった。


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March 25, 2015

葛西紀明今季の賞金は1527万円

Fisski


東京では桜の咲き始める3月の下旬は、スキー競技の終了する季節でもある。
FIS(国際スキー連盟)主催のW杯に参戦していた日本人選手の戦績も出揃った。
当然のことながらFISのW杯には賞金が出るのだが、日本ではあまり獲得した金額について詳細に語られることはない。

今季も最も高額の賞金を稼いだのはやはりジャンプの葛西紀明。
今季も1勝を挙げ、W杯最年長優勝の記録も塗り替えた葛西の賞金は、総合6位で約1527万円。
先にも伝えたように今季は6勝に留まり、通算勝利数を30に伸ばしたものの、高梨沙羅は3季連続の総合優勝には及ばず2位で348万円を獲得。
世界ノルディックで2位になった伊藤有希は、W杯は未勝利で163万円を獲得。
ノルディック複合の渡部暁斗は、今季終盤に2勝を挙げ総合2位に入った。
ただし、団体の賞金が欧州勢に劣り、獲得賞金589万円は4位になる。

前回のポストではスピードスケートの小平奈緒が、日本勢としては24年ぶりにW杯500mの種目別優勝し、他と合わせて今季の賞金が295万円という記事を書いた。
3月23日の新聞各紙は、小平優勝がかなり大きな記事になっている。
が、その脇に、女子ゴルフのTポイントレディスに飯島茜が優勝、の記事があるのだが、飯島の優勝賞金が1260万円。

小平が半年がかり、いやオランダに留学して1年がかりで獲得した295万円の4倍も1回のツアーで獲ってしまうとは…ゴルフってやっぱり凄い。
でも、来年のリオデジャネイロ五輪からは、そのゴルフも正式種目になる。


Kodairaasahi



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March 23, 2015

小平奈緒 24年ぶりの種目別優勝 賞金は295万円

スピードスケート・W杯は22日今季最終戦がドイツのエアフルトで行われ、女子500mで小平奈緒が38秒49をマークして3位に入り、自身初の種目別優勝を果たした。
日本勢による500mの種目別優勝は、4人目。
女子では島崎京子(1990~91年)に続く2人目の快挙となった。

●日本人選手による500m種目別優勝
島崎京子 1990~91年
清水宏保 1994~95年、96~97年、2000〜01年
堀井学 1995~96年
小平奈緒 2014~15年

バンクーバー、ソチとこの種目五輪2連覇の李相花は、最終戦に欠場。
また、今季4勝のH・リチャードソンが前半を欠場していたという要素はあるものの女子2人目の快挙に変わりはない。

スピードスケートのW杯もスキーのW杯同様に賞金が出る。
小平は、
500m種目別優勝 $15000
W杯1位 1回 $1500
W杯2位 5回 $5000
W杯3位 2回 $1600
さらに世界距離別選手権(2月ヘーレンフェーン)でも3位に入り、$1500の賞金を得た。
今季の賞金合計は$24600(約295万円)となる。

*世界距離別選手権では、日本女子チーム(髙木菜那、高木美保、菊池彩花)が優勝し、3人で$6000の賞金が授与された。

●女子チームパシュートの結果 世界距離別及び五輪
2015年
①髙木菜那、高木美保、菊池彩花 3分01秒53 (8か国参加)
2014年ソチ五輪
④押切美沙紀、菊池彩花、髙木菜那 3分10秒19 金メダルはオランダ
2013年
⑦穂積雅子、石野枝里子、高木美帆 3分7秒90(8か国参加 優勝はオランダ)
2012年
⑦穂積雅子、高木美帆、菊池彩花3分04秒10(8か国参加 優勝はオランダ)
2011年
④石野枝里子、穂積雅子、高木美帆 3分03秒.20(8か国参加 優勝はカナダ)
2010年バンクーバー五輪
②田畑真紀、穂積雅子、小平奈緒 3分02秒84 金メダルはドイツ
2009年
③田畑真紀、穂積雅子、大津広美 3分04秒06 (8か国参加 優勝はカナダ)


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March 17, 2015

W杯総合2位 高梨沙羅の今季の賞金は348万円

ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子は13日、オスロで個人の最終第13戦が行われ、高梨沙羅が128m、127mメーを飛び、263・8点で優勝した。
高梨は4連勝で、今季6勝目、通算30勝目を挙げたが、個人総合では2位にとどまり、3連覇を逃した。5位のダニエラ・イラシュコ(オーストリア)が個人総合を初制覇した。

Sara2015

今季の高梨は個人戦4連覇がかかる世界ジュニア選手権を回避し、同時期にあるW杯に出場した。
ジュニアの4連覇よりも、シニアのW杯個人総合で3連覇に賭けていたということだ。
昨季は、ソチ五輪があり、露出の機会を増やすために16戦あったW杯も今季は13戦しか行われなかった。
その内6勝したが、5勝のイラシュコ=シュトルツ(AUT)に僅差で敗れてしまった。
賞金も28890スイスフラン=約348万円で、首位のイラシュコ=シュトルツの29910スイスフラン=約360万に少しだけ及ばなかった。
なお総合優勝した昨季の高梨の賞金は、59100スイスフラン=684.7万円(当時のレート)だった。

シーズンの終盤にあった世界ノルディックでも個人戦4位。
大きなタイトルに縁がなかった。

本人は、今季は「失敗が多く苦しんだシーズン」と振り返ったというが、女子ジャンプも広く認知されてきて、簡単には勝てなくなってきたということだろう。
現在18歳。身長152センチ、3年後の平昌五輪ではソチ五輪以上に厳しい戦いが待っているに違いない。

FIS(国際スキー連盟)は、各種目のW杯を開催しているが、日本人選手で総合優勝したのは荻原健司と高梨
沙羅の二人しかいない。

 荻原健司 ノルディック複合 1992-93、1993-94、1994-95の3連覇
 高梨沙羅 ジャンプ女子 2012-13、2013-14の2連覇
 *荻原健司も1995-96のシーズンは総合2位に終わった。

ほかには、種目別優勝という形になるが
 瀧澤宏臣 2002-03フリースタイルスキー・スキークロス 
 上村愛子 2007-08フリースタイルスキー・女子モーグル
 小野塚彩那 2014-15フリースタイルスキー・女子ハーフパイプ
またスノーボードでは、山岡聡子(03-04)、成田夢露(04-05)、青野冷(06-07)、角野友基(12-13)が優勝している。



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March 04, 2015

平昌の真実Ⅵ ジャンプ台はFIS公認取り消し 選手は長野五輪から変わらず

2018年に韓国・平昌で行われる冬季五輪のジャンプ会場がすごい。
この施設はアルペンシアリゾートというところに533億ウォンをかけて2008年に作られた。
ところが、難がある。
風の吹きさらしになっているのだ。

2月26日に行われるはずだった全国冬季体育大会スキージャンプは強風のため中止になった。
韓国の新聞にこんな記事が載った。
国際スキー連盟(FIS) 規定によれば風速が平均秒速3m未満の時だけ競技ができる。 しかし平昌の2月平均風速は秒速4m、最大風速は秒速9mに至る。 競技を取り消した 26日風速は 8.9mだった。 平昌競技場は跳躍台周辺に風を阻む地形が全然ない。 FISは去年2月平昌冬季オリンピック準備状況を点検しながらスキージャンプ場の地形と風速が規定に達していないと指摘し、8月には使用不可決断を出した。
遡ること2013年10月には競技場の選手輸送施設(リフト、ゴンドラ)と電光板など熱の種類施設を補いなさいと要求した。が、平昌オリンピック組織委員会(組織委)は対策をしなかった。

このジャンプ競技場は、2009年5月22日受けたFISの公認が去年12月31日に取り消されている。
ここでのジャンプ競技は無理だ。
五輪本番まで3年を切った、今からジャンプ場を作るにしても1000億ウォンかかると言われている。

ジャンプの韓国代表の選手たちも、2年間国内でトレーニングができず、もっぱら海外で行っていると言う。

韓国のジャンプ選手と言えば、1998年の長野五輪の際に14歳から16歳の少年たちが参加して来たのが、最初だ。
先にスウェーデンのファルンで世界ノルディック選手権行われた。
次回冬季五輪開催国の韓国も数人の選手が参加していたが、ジャンプ団体に出場した4人のうち、3人までが、
あの長野の当時少年だった選手である。
あれから17年も経つというのに全く競技人口が増えていないらしい。


崔興喆(33歳)、金鉉起(31歳)、崔鎔直(32歳)の3選手は、長野、ソルトレークシティ、トリノ、バンクーバー、ソチ五輪出場。
姜七求(30歳)は、長野を除く4大会出場。
なお、彼らの名誉のために言っておくが、2003年に青森で行われた冬季アジア大会のジャンプ団体では、この4人で日本を破って優勝した。
また、ユニバーシアードでも2003年、2009年には優勝している。

●2015年世界ノルディック選手権 ジャンプ団体 参加13か国
2015jumpteam



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February 27, 2015

27年振りのメダル独占 1999年世界ノルディック

ノルディックスキーの世界選手権第8日は26日、スウェーデンのファルンで行われ、ジャンプ男子ラージヒルでソチ冬季五輪銀メダリストの葛西紀明は11位だった。
セベリン・フロイント(ドイツ)が268・7点で圧勝。小林潤志郎が13位、竹内択は24位、伊東大貴は28位。に終わった

ノルディックスキーもアルペンスキーも、奇数年に世界選手権が開催されており、今年の大会も終盤に来ている。
長い大会の歴史のなかでも1999年が印象深い。

1998年の長野五輪ジャンプ団体で念願の金メダルを獲得し、その4年前リレハンメルの雪辱を晴らした日本だったが、1999年世界ノルディック選手権(ビショフスホーフェン=オーストリア)のジャンプ団体ではドイツに僅差で敗れ銀メダルに終わっていた。
ドイツは4人の内全員が2回ともK点を越えたが、2人が転倒。
それでも日本を押さえる圧倒的な飛距離だった。

それから3日、舞台をのラムソーに移してNH(ノーマルヒル)の個人戦が行われた。
長野五輪LH(ラージヒル)金メダルの船木和喜は1回目に96mを飛び、持ち前の美しいフォームで首位に立つ。
96.5mの宮平秀治が2位、最長不倒の98mを飛んだ原田雅彦はしりもちをつきかけて飛型点をロスしたものの4位につけた。

2回目は原田が3人を残して94mを飛び、その時点で首位に。
3位につけていたこの大会のLH金メダリスト シュミット(ドイツ)が失速、順位を落とす。
続く宮平は93.5mで、原田をかわす。
最後にスタートした船木は94m。
この回でもトップとなり金メダルを獲得した。
なお、葛西紀明は5位に入った。

ジャンプ競技のメダル独占といえば、札幌五輪があまりに有名であり、五輪、世界選手権でこれが再現されることはあり得ないと思っていた。
が、長野五輪の翌年、あっさりと再現されてしまった。
団体でドイツに惜敗しても、それを引きずらない雰囲気の良さがあった。
札幌五輪70m級のメダル独占から27年目の快挙であった。
このとき、原田雅彦30歳、葛西紀明28歳、船木和喜23歳である。

ご存知のように葛西紀明は、長野五輪の出場はNHのみ(7位)で、LHにも金メダルを獲った団体にも出場していない。
さらにこのメダル独占のビショフスホーフェンでも、5位という好成績でありながら表彰台には立てなかった。
船木、宮平、原田が満面の笑みでメダルを受け取る際、テレビのカメラが葛西をとらえると悔しそうな顔が見て取れた。
誰よりも長く現役を続けるモチベーションは、ここにあるのだ。

●1999年世界ノルディック選手権 NH K=90 2月26日 得点(1回目の飛距離,2回目の飛距離)
1.船木和喜 255.0(96.0,94.0)
2.宮平秀治 253.5(95.5,93.5)
3.原田雅彦 252.0(98.0,94.0)
4.ヤンネ・アホネン(フィンランド) 249.0(94.0,93.0)
5.葛西紀明 247.5(95.0,92.0)
5.M・ヘルバルト(オーストリア)247.5(94.5,92.0)

●1972年札幌オリンピック 70㍍級 K=86 2月6日 得点(1回目の飛距離,2回目の飛距離)
1.笠谷幸生 244.2(84.0,79.0)
2.金野昭次 234.8(82.5,79.0)
3.青地清二 229.5(83.5,77.5)
23.藤沢 隆 207.8(81.0,68.0)



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December 17, 2014

大韓航空ナッツ・リターン事件と平昌オリンピック

1988年夏季五輪招致を名古屋市とソウルで争ったことについては、何度も書いてきたので是非そのページを見て頂きたいが以下のようなこともあった。

圧倒的有利と言われた名古屋市が、水面下で起こっていることに気付かずにクリーンに招致活動をしていたとき、ソウルはサンダーボール作戦と呼ばれる国を挙げての招致活動を展開していた。
ソウル側は、大韓航空が世界一周のファーストクラスのチケットを用意し、IOC委員に配ったとされている。
IOC委員は、このチケットを使おうが、換金しようが自らの意思に委ねられたのだ。

大韓航空は財閥である韓進グループに属し、韓進グループを率いていたのは趙重勲氏(2002年没)。
この人物が、ソウル五輪招致の際の財界側のトップにいた人物だ。

時は流れ、2018年冬季五輪を勝ち取った 平昌の招致委員長を務めていたのが趙亮鎬氏。
名前を見ても判るだろう。趙重勲氏の息子であり、現在の韓進グループ会長を務める人物だ。
父親がソウル五輪を、息子が平昌五輪を呼び込んだ。
今年の8月、急に辞職した前任者の代わりに平昌五輪組織委員長に就いた。
親子2代で2度の五輪を呼び込んだとはまるで映画のような親子である。

ところが12月になり、趙亮鎬氏の長女 趙顕娥氏の名前がいきなり世界を賑わせた。
そう、大韓航空前副社長が自社旅客機の機内サービスに激怒して、航空機を引き返させた「ナッツ・リターン事件」のその人だ。

元々大韓航空は国営航空会社だったが、朴正煕大統領が、趙重勲氏率いる韓進グループに売却し、1969年に民営化された経緯がある。
朴正煕大統領とはもちろん朴槿恵現韓国大統領の父親である。

12月12日 平昌五輪組織委員会は、競技を海外の会場を使用することなく、韓国内ですべての競技を行うと発表。
ひとます、平昌五輪の競技場の問題は収まった形だ。
が、明らかに朴槿恵大統領、平昌五輪組織委員会、韓進グループに揺さぶりを掛けようとしている人物がいる。

韓国の大統領の任期は5年。
再選はできない。
次の大統領選は2017年。
新大統領は2018年から任期となる。



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December 10, 2014

平昌の真実Ⅴ 平昌五輪の競技の一部を長野でやる話が水面下で進んでいるようだが

2018年の平昌五輪のそり系の競技を、長野五輪で使用したスパイラルでできないか、といった話が水面下で進んでいるらしい。

そり系の競技とはボブスレー、リュージュに長野五輪の4年後のソルトレークシティ五輪から正式種目になったスケルトンがある。
日本ではいずれも非常にマイナーな競技であり、例えばボブスレーの日本の競技人口は50人いないといわれている。
民主党政権時代に、政府の事業仕分けで、文字通り「マイナー競技」と指摘された経験がある。

長野五輪でボブスレーとリュージュの会場だったスパイラルは、当時101億円の費用をかけて建設された。
アジアでほかにそりの国際大会が開催できる競技場はない。

スパイラルは、長野市の管理施設であり、年間の維持費が1億8000万円かかる。
このうち1億3000万円を長野市が、5000万円を「長野オリンピック記念基金」が負担してきた。
が、長野五輪閉幕から10年以上経ち、「長野オリンピック記念基金」の底が尽き、現在は維持費のほぼすべてを長野市が負担している。

一方の平昌五輪。
そり系の競技場は、リゾート地のアルペンシアに、スライディングセンターという名前で、今年の3月に建設工事が始まった。
建設のための総費用は約1228億ウォン。米ドルに直して1.145億ドルをというから長野のスパイラルとほぼ同額だ。
これを韓国政府が921億ウォン、地方政府が307億ウォンを負担し、2016年末までに完成する予定だ。

韓国のボブスレーは、実は日本より強い。
平昌五輪が決まり、それまでスケートしかやっていなかった韓国がひそかに強化をしているのが、カーリング、モーグル、そしてボブスレーだ。
例えば今年のソチ五輪のボブスレー男子二人乗りでは、日本チームが26位(完走27組)だったのに対し、韓国はABの2チームが出場し、韓国Aが18位、韓国Bが25位と日本を上回っている。

韓国が強化をしているボブスレー、毎年長野市が2億円近く維持費の負担をしているスパイラル。
こうした事情があるのだから、長野市の維持費を韓国側が負担するのであれば、私は平昌五輪のそり系競技を長野でやることは構わないのではないかと思う。

ただ、問題がある。
そり系の競技は、試合の行われる会場でどれだけ滑り込むことができるかが、本番の順位に大きく影響するのだ。

日本は、ボブスレー男子2人乗り、4人乗りともに1972年以降毎回参加しているが、最も順位が良かったのは
当然地元開催の大会だ。

ボブスレー男子4人乗り 日本チームの最高順位と2番目の順位
 札幌大会12位、長野大会15位
ボブスレー男子2人乗り 日本チームの最高順位と2番目の順位
 札幌大会15位、長野大会17位

こうした事情を知っていれば、平昌に競技場を作る方が良い。

(補足)
韓国メディアによると、平昌五輪開幕まであと3年ほどしか残っていないにもかかわらず、会場の建設が始まった形跡がほとんどないという。
開催にかかる費用は、2011年の招致成功時には6993億ウォン韓元(約758億円)だったが、物価上昇などにより、8200億ウォン(約888億円)にまで膨れ上がっている。
2014年のソチ五輪の510億ドル(約6兆2000億円)に比べれば微々たる額ではあるが、自治体にとっては軽い負担ではない。




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